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2023年2月12日 (日)

すべてうまくいきますように

 脳卒中で倒れ体の自由がきかなくなった父が安楽死を希望し家族が翻弄される映画「すべてうまくいきますように」を見てきました。
 公開2週目日曜日、新宿武蔵野館スクリーン2(83席)午前9時45分の上映は6~7割くらいの入り。

 裕福な元実業家で美術品コレクターの父アンドレ(アンドレ・デュソリエ)が脳卒中で倒れ、妹パスカル(ジェラルディーヌ・ペラス)とともに病院に駆けつけた小説家のエマニュエル(ソフィー・マルソー)は、医師から今後も再発のおそれがあること、抗うつ剤を処方することを告げられた。彫刻家だった母クロード(シャーロッド・ランプリング)も介護者に付き添われ杖を突いて病院を訪れるがすぐに帰ってしまい、エマニュエルが連日病院に通うことになった。アンドレは順調に回復している様子だったが、エマニュエルに「終わりにしたい」と告げて安楽死を求め、エマニュエルははぐらかして先送りにするが、アンドレは繰り返しエマニュエルに安楽死の準備を進めることを求め…というお話。

 体が思うように動かなくなり、他人の介護なしに生活ができなくなると、そのような形で生きながらえたくないという判断について、どう考えるか。自分でも観念的にそう考えたこともありましたが、この作品のアンドレのように、車椅子生活とはいえ、上半身を動かすことにそれほど支障もなく(エマニュエルの腕を振り払ったりしています)、意識もしっかりし会話に不自由ない状態でそのように言われると、何を贅沢なことを言っているのかと思えます。そこは、病者側から見るか家族側から見るか、自分の年齢や体の状態、家庭環境等によって、見方が大きく左右されるところかと思います。私の経験でいえば、坂本弁護士一家拉致事件(当時は拉致事件と呼ばれていました。実際には殺害事件)の発生時、日弁連広報室嘱託だった私には、対立関係にあった弁護士への攻撃、司法制度に対する攻撃への怒りが主な感情でしたが、1年後に自分の子どもが生まれると、乳幼児までが連れ去られた(実際には殺害された)ことへの驚きと悲しみ(親族への同情・共感)の感情が支配的になりました。人間の見方はそれほどに自分の状況に揺り動かされるのです。今の私には、アンドレを見ていると、そんなに元気なのに、これでは生きる意味がないとか死にたいとか言わないでよという気持ちが強く生じます。

 アンドレが、体調や機嫌がよくなっても、安楽死にこだわり続ける動機については特に踏み込まれず、基本的に、驚き戸惑い振り回される家族の側の事情・心情が描かれています。
 それは、むしろ安楽死を考えている人に対して、安楽死など言い出すと家族がたいへんな思いをするからねと言っているようにも見えます。

 いい感じに歳を重ねたソフィー・マルソーの抑えた戸惑い・哀しみの演技が見どころかと思います。

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