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2018年11月 4日 (日)

スマホを落としただけなのに

 恋人がスマホを落としたことを契機にさまざまな被害に遭い危険にさらされるというSNSミステリー「スマホを落としただけなのに」を見てきました。
 公開3日目日曜日、新宿ピカデリースクリーン8(157席)10時40分の上映は9割くらいの入り。

 派遣社員の稲葉麻美(北川景子)が以前の派遣先の同僚で恋人の富田誠(田中圭)に電話をしたところ知らない男が出て、富田がスマホをタクシーの中に落としたことを知り、預けて置くからと言われて指定された店でスマホを無事に回収したが、その後、富田にはクレジットカードでの身に覚えのないショッピング代金の請求や、データを破壊されたくなければ身代金をよこせというランサムウェア感染などの異常が相次ぎ、麻美はSNSでかつての上司の知人と自己紹介しているネットセキュリティ業者に連絡し、その従業員の浦野(成田凌)に富田のスマホを見てもらい対策を施してもらう。対策が済んで安心したのもつかの間、今度は、麻美に、以前の派遣先での富田の上司からの執拗な誘いやSNSアカウントの乗っ取りと身に覚えのない投稿が相次ぎ・・・というお話。

 生活・仕事上の情報をスマホに集中し、連絡や情報収集などさまざまな場面でスマホに依存することが多くなっている現状の危うさを改めて実感させる作品です。そのことは、スマホに限らず、他のものであっても、1つのものにあまりに多くを依存してしまうと、それを失ったときのダメージが大きく、同じようなことになるわけです。この作品では、スマホを落としたという設定で、しかもパスワードを誕生日にしていたためにハッキングされたという描き方なので、どこか「自己責任」的な印象があり、システム自体の脆弱性とかメーカーや通信会社等には非難が向かないように配慮されていますが、能力のあるクラッカーの手にかかれば暗証番号をわかりにくくしても、またスマホを落とさなくても、ハッキングされるリスクというのは否定できないわけで、本当はもっと現代のシステムそのもののリスクに目を向けておくべきなのだと思いますが。
 この作品の秀逸なところは、スマホを落とした本人だけではなく、その恋人に被害・危険が及ぶというところにあります。そういう点では、自分に何ら落ち度がなくても、自分自身はスマホを落としたりしなくてもリスクがあり、そういう社会なのだという警告にもなっています(でも、それを考えても、非難はスマホを落とした個人に向けられるように作られています)。

 富田のスマホを拾って富田と麻美に攻撃を仕掛ける、連続女性殺人事件の犯人が、異常に気が短いというかいらだつとすぐ気ぜわしく足踏みをし手を震わせる様子が執拗に描写され、短時間しかふつうの社会人の態度をとれない(装えもしない)という戯画的な設定となっています。犯罪者は、ふつうの人とはまったく違う異常な人物だと言いたいのでしょうけど、エンタメだし犯罪者は自分たちとはまったく違う人間だという設定で安心して見せたいのでしょうけど、安易な感じがします。
 そして、犯人が長い黒髪の女性の下腹部を執拗に刺して殺す原因が、幼い頃に母親(黒髪の女性)から「あんたなんか産まなきゃよかった」と言われたことへの恨みとされます。その母がどうしてシングルマザーになったのか(父親はどこでどうしてる?)、母親がそこに至るまでにどのような苦労をして息子を育ててきたか、どういう経緯と思いでそのような言葉を発するに至ったかは何一つ描かれません。あくまでも無責任で身勝手な母親の心ない言葉と描きたいようです。母親のみなさん、どんな事情があれ、子どもを産んだ以上は育てる義務があります、子どもに心ない言葉をかけてはいけません、そうでないと犯罪者が生まれ社会に迷惑です、そう言いたいのでしょうか。

 知人の名をかたってヤミ金融から借金を繰り返し債務が1000万円にもなったということが、重要な設定となっています。事業者(自営業者)から手形や取引先への債権(売掛債権)の譲渡証書を書かせるなどして数百万円単位の金を貸すヤミ金融はありますが、ふつうの勤労者個人にはヤミ金融はせいぜい数十万円しか貸しません。それにヤミ金融は、まぁヤミ金融自体個人なのでいろいろいるとは思いますが、貸付に際して本人だけじゃなくて勤務先はもちろん親や兄弟などの名前と連絡先などをたくさん書かせるのがふつうです。返さなかったらそういうところへも追い込みをかけるぞというのが、ヤミ金融にとっての担保になるわけです。知人であってもそういう情報はふつうさらさらと書けませんから、知人の名をかたってヤミ金融から借入をするというのは、そう簡単ではないと思うのですが。

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