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2017年8月

2017年8月27日 (日)

エル ELLE

 自宅で覆面男にレイプされたゲーム会社社長が自ら犯人を捜すサスペンス映画「エル ELLE」を見てきました。
 封切り3日目日曜日、全国13館、東京4館の上映館の1つTOHOシネマズシャンテスクリーン1(224席)午前10時15分の上映は満席。

 ゲーム会社のワンマン社長ミシェル・ルブラン(イザベル・ユペール)は、一人暮らしをしていたが、ある日自宅で覆面男にレイプされる。39年前に父親が27人を殺し、当時10歳だった自分が父に言われて家で服を燃やしているところを警察に踏み込まれ下着姿のまま報道されたことを恨みに思っているミシェルは、元夫のリシャール(シャルル・ベルリング)、親友でビジネスパートナーのアンナ(アンヌ・コンシニ)、アンナの夫で実は愛人のロベール(クリスチャン・ベルケル)らに警察に届けるよう勧められても、警察には行きたくないと言い、護身用のスプレイとハンマーで身を固める。しかし、携帯に非通知コールや嫌がらせメールが届き、家に侵入した痕跡を見つけ、会社では怪物がミシェルをレイプするゲーム動画がばらまかれ、ミシェルはレイプ犯が身内だと確信する。他方で、ミシェルは、ミシェルの心身の傷に無頓着に頻繁にセックスを求めるロベールに閉口しつつも要求に応じ、元夫のリシャールが交際する大学院生に嫉妬し、隣人のレベッカ(ヴィルジニー・エフィラ)の夫パトリック(ロラン・ラフィット)を双眼鏡で見つめながら一人Hする。夜自宅の前に停車する怪しげな車に護身用スプレイとハンマーを持って近寄ったミシェルは・・・というお話。

 覆面のレイプ犯を追うサスペンスという形をとりながら、ミシェルという特定の/特別の「彼女(ELLE)」の人物像を、そしてまたレイプ犯の「彼」の人物像を描いた作品です。
 たぶん、レイプ被害者にとっては、耐えがたい人物造形だと思いますが、この作品も、通常のレイプ被害者あるいはあるべきレイプ被害者を描くつもりはさらさらなく、またそうは読み取れないと思えるのが救いでしょう。
 公式サイトの紹介で「世界初の気品あふれる変態ムービーにして異色のサスペンス」としているのが、(世界初かどうか、気品あふれるかどうかはさておき)この作品の性質を表しているというべきでしょう。

 イザベル・ユペールの身構えて挑戦的な表情と何かに動じるものかという頑なな表情が印象的です。
 レビューで、レイプされた後のミシェルについて、何事もなかったかのように平然と割れた食器を片付けるとか書いているものが多いのですが、私には、ミシェルの頑なな表情の中に、弱さを見せるまいとする構えの中に傷ついた心が感じられました。
 63歳のイザベル・ユペールが、役柄では49歳(39年前の父親の犯罪時に10歳)で、ヌードも見せ、それでさほど無理に見えないというのもすごいかなと(やっぱり私などには女の歳はわからん)・・・

2017年8月13日 (日)

少女ファニーと運命の旅

 ナチス・ドイツ支配下のフランスからスイスへと逃走するユダヤ人の子どもたちを描いた映画「少女ファニーと運命の旅」を見てきました。
 封切り3日目日曜日、全国6館、東京で唯一の上映館TOHOシネマズシャンテスクリーン1(224席)午前9時55分の上映は8割くらいの入り。

 1943年、フランス。支援者たちがユダヤ人の子どもをかくまっている児童施設に両親から離れ幼い妹2人とともに預けられた13歳の少女ファニー(レオニー・スーショー)は、通報により施設にドイツ兵が乗り込む直前にイタリア支配地域の支援者マダム・フォーマン(セシル・ドゥ・フランス)の下に移される。ファニーは、厳格なマダム・フォーマンにはなじめなかったが、料理担当の陽気な青年エリー(ヴィクトール・ムートレ)とコンビを組み、様々なことを教えられながらそこでの生活になじんでいく。しかし、ムッソリーニが逮捕され、イタリアが撤兵しドイツが進軍することを察したマダム・フォーマンはスイスへの逃走を決断し、子どもたちに偽名を与え行き先を決して口外しないよう厳命して子どもたちを列車に乗せる。偽造パスポートを調べられると計画が発覚するマダム・フォーマンは列車には乗らず乗換駅に車で先回りして先導し、列車内ではエリーが子どもたちを引率する計画だったが、乗換駅でドイツ兵が乗り込んでくるのを見たエリーは一人で逃走し、それを知ったマダム・フォーマンはこれからはファニーがリーダーと指名する。ところが、次の乗換駅の手前で橋が爆破されて、そのままではマダム・フォーマンと待ち合わせた駅に行けないことを知ったファニーは・・・というお話。

 13歳の少女が、子どもたちを率い、幼い子どもからは疲れた、もう歩けない、お腹がすいたとこぼされ、年上の子どもからはリーダーシップの不足を非難され計画遂行の見通しへの疑念を示されながら、当然に内心不安で心細くて泣き出したい気持ちであろうに、ときにはかんしゃくを起こしながらも、周りを叱咤したりなだめたりしながらけなげに初志を貫こうとする姿が、テーマであり、また見せどころです。
 設定もストーリーも雰囲気も違いますが、その点は、「ウィンターズ・ボーン」を思い起こしました。「ウィンターズ・ボーン」の主演でブレイクしたジェニファー・ローレンスはトップスターに上りつめましたが、映画初出演の新星レオニー・スーショーの今後はいかに。
 幼い子どもが、善意の大人と敵対する大人に囲まれながら、親や大人の保護から離れて生き抜きたくましく成長するというのは、立派ではありますが、しかし、幼い子どもをそのような運命に追い込む社会(というより政治か)と時代を作らないことが、大人の、親の責任なのだということを、かみしめておきたい。子を持つ親としてはそういうことを考える作品だと思います。

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