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2017年3月12日 (日)

お嬢さん

 結婚により莫大な遺産を相続することになっている屋敷に囚われたお嬢さんを騙す計画で詐欺師と侍女が乗り込むR18+指定のミステリー映画「お嬢さん」を見てきました。
 封切2週目日曜日、全国15館東京3館の上映館の1つTOHOシネマズシャンテスクリーン2(201席)午前10時20分の上映は7割くらいの入り。R18+指定ではありますが、割と女性の観客もいました。

 1939年、日本の植民地支配下の朝鮮で、叔父上月(チョ・ジヌン)の屋敷で膨大な書物に埋もれて叔父の命で書物の朗読をして日々を過ごす秀子(キム・ミニ)が、結婚すれば莫大な財産を相続することになっており、自分が秀子と結婚して財産を手にしたあと秀子を日本の精神病院に閉じ込めて財産を自由にしようという詐欺師(ハ・ジョンウ)に誘われ、スッキ(キム・テリ)は「珠子」と名乗って秀子の侍女として屋敷に入り込み、藤原伯爵を名乗って上月に取り入った詐欺師をアシストして、秀子が詐欺師に好感を持つように仕向けようとする。しかし、一方で秀子の世話をするうちにスッキは秀子に好意を持ち、さらには思いを寄せ、ついには性的な関係を持ってしまい、心が揺れ…というお話。

 3部構成の作品の第2部まで隠していることなので、書いてしまうとネタバレではありますが、予告編でもお嬢さんと人形の疑似性交や春画が登場するのでまぁ推測がつくと思います。この作品では、叔父の下で軟禁状態のいたいけな少女(お嬢さん)が叔父と叔父の取り巻きのスケベ男たちの前で春本を朗読させられ続けているというシチュエーションが重要な意味を持っています。原作( FINGERSMITH 邦題は「荊の城」:サラ・ウォーターズ、2002年)は、ロンドン郊外の人里離れた古城が舞台ですが、これを日本支配下の朝鮮を舞台にしたのは、日本の支配層にそのような堕落を見出し/感じたということなのでしょうね。
 韓国映画ですが、日本の支配層の屋敷が舞台のため、半分近いセリフが日本語です。しかし、この日本語が、ネイティブの日本語スピーカーには片言のたどたどしさが残り、違和感があるというかどこかしらけがちです。お嬢さんが、いたいけな少女が、叔父やスケベ男たちの前でエロ本を朗読するシーンは、観客にはお嬢さんの肉声で聞かせるのがアピールすると思いますし、それは観客の母国語の方がいいと思いますが、これだと、韓国の観客は字幕で見ることになり、日本の観客は片言の日本語で、どちらも今一つに感じるんじゃないかと思いました。いたいけな少女感が、たどたどしい日本語の方がふさわしいという向きもあるかもしれませんが。

 力入れて、原作を読んで見たのですが、公式サイトの解説で「…そして、物語の幕開けから60分、我々は予想だにしなかった展開に目を見張ることとなる」とある第1部の終わり、ここは原作を読んだ時には、確かに考えてみれば相応に布石はあるのですが、驚かされましたが、さすがに原作を読んでから見ると、予定通りの展開です。しかし、むしろ原作を読んでから見た観客には、その後第2部の後半、これも予告編にありますからいいでしょうけど、お嬢さんの首つりシーンがまず驚きで、そこからは原作から大きく外れていきます。原作からの離脱が、好ましいかどうかに意見が分かれるでしょうけれど、例えばグリムのラプンツェルで王子とラプンツェルを7年間も荒野をさまよわせて苦労させなくても、と思う私のようなタイプには、この作品の展開は、原作よりも好ましく、原作を読んで重苦しく感じた読者には最も喜ばしく痛快と言えるでしょう。いやいや物語の主人公は激しく苦労しなければ(貧民層の読者でも世の中にはすごく苦労している人がいるんだ、自分はまだまだましだと思えるようでないと、読者が、救われないじゃないか!)というタイプには、原作の重厚さが失われているということになるのでしょう。
 お嬢さんとスッキの長めの濡れ場が3回あるのは、R18+の観客サービスなんでしょうね。スッキの側から見る第1部とお嬢さん側から見る第2部で2回出てくるのは一応必然でしょう(2回目も同じだけの長さで繰り返す必要があるかは…)けど、3回目は必然性はあまり…

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