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2017年3月 5日 (日)

ラビング 愛という名前のふたり

 1967年、異人種間の婚姻を禁止したヴァージニア州法を無効とする判決を勝ち取ったラビング夫妻を描いた映画「ラビング 愛という名前のふたり」を見てきました。
 封切3日目日曜日、全国で13館東京では唯一の上映館TOHOシネマズシャンテスクリーン1(224席)午前10時の上映は6割くらいの入り。

 黒人の恋人ミルドレッド(ルース・ネッガ)から妊娠を告げられた白人のレンガ職人リチャード(ジョエル・エドガートン)は、喜んでミルドレッドに求婚し、2人はワシントンDCで結婚の手続をして、ヴァージニア州の自宅に戻った。深夜保安官(マートン・ソーカス)が2人の自宅を襲い、2人を逮捕した。ヴァージニア州では黒人と白人の結婚が禁止されていたからだ。リチャードが依頼した弁護士は司法取引(有罪答弁)を勧め、直ちにヴァージニア州を立ち去り2人一緒にはヴァージニア州に戻らないことを条件に懲役1年、執行猶予25年の判決が言い渡された。2人は、ワシントンDCのミルドレッドのいとこのうちで結婚生活を過ごすが、子どもが交通事故に遭ったことを機にミルドレッドは逮捕されてもヴァージニア州に戻りたいと言い出し…というお話。

 公民権運動のシンボルの1つとなった裁判の当事者を、リチャードは朴訥な無口で悲観的な職人、ミルドレッドは前向きで希望を捨てないが活動家ではなく夫についていくタイプの人物と描いています。ルース・ネッガの潤んだ瞳と笑顔が魅力的です。
 そういう、活動家ではない、ごく普通の庶民の裁判が歴史を動かしたという事実、言い換えれば、ほんの60年ほど前のアメリカで、普通の庶民がただ結婚したというだけで逮捕・投獄されていたという事実に、感動と驚きを覚えます。
 タイトルの「ラビング」 Loving は Love の現在分詞ではなく、2人の名前。原題は単純に " Loving " で、アメリカでは公民権運動史上の人物として通じるのですが、日本では無名のため、邦題に苦労の跡がしのばれます。

 ミルドレッドがケネディ司法長官に書いた手紙がACLU(アメリカ自由人権協会)に回され、ACLUが組織的に取り組むことになって、ACLUから指名された弁護士バーナード・コーエン(ニック・クロール)がラビング夫妻と面談します。その際、コーエンが、すでに有罪判決から5年がたっていて、控訴できないので、争うために2人でヴァージニア州に戻り再逮捕されることを提案し、リチャードから直ちに拒否されます。当事者が公民権運動の活動家で、組織として悪法の撤廃に向けた運動の活動方針を協議しているのなら、それもありでしょうけど、普通の当事者にそういうこと、言うかなぁ。その後、コーエンが、優秀な人権派弁護士フィリップ・ハーシュコプ(ジョン・バース)から憲法訴訟の経験を聞かれて、ほとんどないと答える場面、さらにはハーシュコプが、再逮捕されたらまずいぞという場面が置かれ、コーエンが経験の乏しい弁護士と評価されていますけど。
 裁判を進めながら、リチャードが、弁護士たちを評して、「ただの弁護士などあてにならん」というシーンがあります。ACLUが運動として取り組んでいるために無償とされているわけですし、ACLUが組織的に取り組んでもこう言われるのって…世間の弁護士への視線に、忸怩たる/悲しい/嘆かわしいものを感じます。

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