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2017年1月22日 (日)

僕らのごはんは明日で待ってる

 瀬尾まいこの青春恋愛小説をジャニーズアイドル主演で映画化した映画「僕らのごはんは明日で待ってる」を見てきました。
 封切3週目日曜日、公開初週末・2週目ともにベスト10にも入れない大コケをにらんででしょう、封切16日目の日曜日にしてミニシアターレベルの一番小さなスクリーンで1日1回だけの上映にまで落としたTOHOシネマズ新宿のスクリーン12(73席)午前10時50分の上映は、意外にも満席。観客の圧倒的多数は若い女性の2人連れ・3人連れ。満席の客席に男性客は数人レベル。男性1人客もいることはいましたが、この会場に男性1人で入るのは度胸がいるかなと…

 兄が病死してから孤独にたそがれていた高校生葉山亮太(中島裕翔)は、同級生の上村小春(新木優子)から体育祭で米袋ジャンプでコンビを組み1位になったのを機に告白される。不器用にすれ違いを見せつつも、2人は交際を始め、葉山は大学では誰にでも講義ノートを貸したためにとんでもなく心が広い奴と噂され「イエス・キリスト」と呼ばれるようになり、2年後には上村は短大を卒業して保育士になり、翌年葉山も就職が内定した。2人の関係は順調に見えたが、ある日、ファミレスで食事中、上村が突然別れを切り出し、葉山はまったく理解できず困惑し…というお話。

 原作を読んでから映画を見ると、使われているセリフはほぼ原作どおりで、特に前半は、(細かくいえば、原作では米袋ジャンプを含む「ミラクルリレー」は得点に入らないのに映画ではそのリレーを受けて「総合優勝!」ってコールされてるとか、上村の「ヒミツ」が原作で「おばあちゃんを裏切って父親が誰か調べようとしたこと」が映画では「静電気が苦手なこと」に変えられてるとか、上村が葉山に別れを告げた時に原作ではハンバーグを残して去るのに映画では持ち帰りするとか…)カーネル・サンダース関係のエピソード(握手も含め)が映画独自に追加されていることや上村のおじいさんが勝手に殺されていることを除けば、かなり原作に忠実に作られていると感じられます。
 しかし、牛乳を買う日や子どもの名前が上村が別れを切り出す前に出てくるあたりから「あれっ?」と思うのですが、後半になり、ストーリーも作品の軸というかテーマというか上村のキャラ設定の根幹にかかわるところまでもが、原作とは違ってきます。もっとも、登場するエピソードやセリフはほとんどが原作にあるもので、ことがらの順番を入れ替えるとここまで意味を変えられるのかと感心します。
 原作では、上村は、わかりにくく我が道を行く(他人に合わせようとしない)気まぐれで扱いにくいキャラで、葉山が別れを宣言されて納得できないのも当然ですし、読者にあえて理解を求めていないと思います。それに対して、映画は、公式サイトのキャッチで「彼女には、好きだからこそ言えない、ある秘密があった」と整理されてしまうように、ものすごくわかりやすい話に変更されています。映画の方が、わかりやすいし、「うるきゅん」しやすいし、上村のキャラも実はいいやつで純愛/殉愛の美談にふさわしいものと受け取られて好感をもたれることになります。それもこの作品の1つの解釈なのかもしれません。しかし、原作は、上村の尖がった拗ねたはずれたキャラでもそのまま丸ごと受け止める、生きたいようにあるがままにいていいんだよという、よりフレキシブルな許容性を持ったものだと思うのです。わかりやすい美談にすることで失われるものも多いように感じました。

 予告編でも使われているクライマックスの葉山がカーネル・サンダース像を抱えて走るシーン。原作には影も形もないシーンですが、私の世代のおじさんは、つい川沿いの道を走る(橋を渡る)場面では、そのまま川にダイブ!(よい子はマネしないように!)と期待してしまうと思います。そういう世代のおじさんは見ない映画だと思いますが…
 終盤登場する山崎さん(片桐はいり)も後半の設定が全く違うためにセリフも原作とだいぶ変わりますが、少ない登場シーンでいい味を出しています。山崎さんへのプレゼントが、原作ではわざわざ「大きな瓶のふりかけは明日も明後日も同じ味だが」たくさんの種類なら「明日のご飯はどれをかけようか楽しみになるね」と書いているのに、映画では大きな瓶のふりかけ1つというのは、どうかと思いますが。

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