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2016年10月16日 (日)

何者

 朝井リョウの直木賞受賞作を映画化した「何者」を見てきました。
 封切2日目日曜日、新宿ピカデリースクリーン6(232席)午前10時35分の上映は9割くらいの入り。

 演劇サークルで脚本を書いていたがタッグを組んでいた演出家烏丸ギンジが独立して別の劇団を作り喧嘩別れになって自分は引退した二宮拓人(佐藤健)は、ルームシェアしている学生バンド「オーバーミュージック」のヴォーカル神谷光太郎(菅田将暉)、拓人が思いを寄せるが光太郎に心を奪われている同級生の田名部瑞月(有村架純)、瑞月が留学生交流会で知り合った小早川理香(二階堂ふみ)とともに就職活動を始める。4人と理香の同棲相手の宮本隆良(岡田将生)は、一堂に会してエントリーシートを書く練習や情報交換をしながら、同時進行で黙ってその状況をツィートしたり、志望先を隠して面接に出かけてばったり出会って驚いたりと、微妙な心のとげを抱えながらそれぞれの就活を進めていた。拓人は、バイト先の先輩沢渡(山田孝之)から、ギンジを隆良と同じとまとめて切り捨てるのは間違いだと指摘され、田舎の家を飛び出してきた母を抱えて大企業に就職することを優先してエリア職で通信会社の内定を得た瑞月は、ギンジとのコラボを中止した言い訳にギンジをけなす隆良を批判して10%でも20%でも自分の中から出さなきゃ始まらないと声を荒げ…というお話。

 就活の過酷さ(というか、だいたいなんだって、消費者の立場からしたらどうということもない企業の面接官にそこまで媚びなきゃならないのか、心を折られなきゃいけないのか…私がそう思うのは自分が就活した経験がないから、なんでしょうけど)と、それに押しつぶされる就活生のストレス、心のゆがみ、目の前にいる相手と向き合えずSNS等での発信(虚像・取り繕い)に没頭する現代人の姿というあたりがテーマになっています。
 心情的には、一貫して瑞月に思いを寄せながら、瑞月が光太郎と付き合い振られながらまだ光太郎を思っているゆえに、瑞月に思いを伝えられない拓人の切なさ、歯がゆさに心を揺さぶられ、喧嘩別れの形になったギンジへのねじくれた気持ちと意地でも認めたくない別離への後悔を哀しく思う、そういう作品だと思います。

 ほぼ原作通りの展開で、原作にないシーンはラスト前の拓人と瑞月の会話、拓人のツィートを演劇化した見せ方くらい、原作から落とされたシーンで展開に影響しそうなものは最初のライブのシーンで拓人がジンバックをこぼして瑞月がハンカチを差し出すシーン(原作ではここで拓人がスーツ姿という言及はありません)と瑞月が留学先から拓人に電話するシーンくらいでしょうか。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。このブログには初コメントです。
このブログにはロバートレッドフォードが主演監督をした「ランナウェイ/逃亡者」のレビューを見て以降よくチェックするようにしています。
というのも原発や労働問題を取り扱っている弁護士の方がこうした映画を見ているのは珍しいと思ったからです。
この映画でレッドフォードを初めて知って調べるとインディペンデント映画祭の主宰や環境活動家もやってたり渋みのある老練な方だったのでファンになりました。
活動家として政治にアプローチをかける一方で左翼のノスタルジーにもまなざしを送れるというのは凄いと評価しています。


それで映画の何者のほうですが、
ラストの瑞月と拓人の会話は原作では電車でのやり取りの時にありましたね。映画としての出来を意識した形でしょうか。
もうひとつ、ギンジと拓人のラインのやり取りも映画オリジナルだと思います。わかりやすくするためとはいえ拓人の闇をここであからさまに描くのは終盤のインパクトが弱くなる所でしょうか。

とはいえツイッターの感想は内容が分かりづらかったり難しかったというのも若い人を中心に多々あるみたいです。
自分がいた劇場には高校生を含め若い人が多くいましたがSNSを利用していてあの内容が分からないというのは鈍感なのか危ういのではと思いました。
という自分もまだ20代初頭の若者なのですが(笑)

長文失礼しました。

yabさま

コメントありがとうございます。瑞月と拓人の会話、そういえば、そうですね。でも、シーンとしてはあの段階で携帯見ながらそういうことで拓人の裏面を知っているけど…という原作にはない要素かな、と。
ギンジとのラインは、忘れてました(^^;) 見た直後には、えっ、本人に直接言うの?ってカミさんとやりとりしたんですが…

映画が終わった後、女子トイレで若者たちがわかりにくかったと話しているのを聞いたけど、就活がまだ実感を持てなくてうまくイメージできないんじゃないかなと、カミさんが言っていました。

原作者が若者に人気若手作家であるのと配給側の戦略で人気の若手俳優を起用したのでしょうね。
観客のなかには高校生も見たので結果的に戦略は当たったと思います。

僕個人は拓人に近い人間で思い当たる節も共感できるところもたくさんあるので
終盤の瑞月とのシーンの拓人のあの姿を見て泣きそうなりましたね…。

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