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2016年8月

2016年8月21日 (日)

君がくれた物語

 作者ニコラス・スパークスが「最高傑作」と評しているという小説を映画化した「君がくれた物語」を見てきました。
 封切2週目日曜日、全国で5館東京では唯一の上映館の渋谷シネパレススクリーン1(182席)午前9時10分の上映は1割未満の入り。日曜日の午前9時台にだれが映画見に行くか、という問題ではありましょうけれど、東京ではここしかやっていない映画館で日曜日にこの惨状は…カップル向けの映画ですが、カップルは私たちを含め3組しか見当たりませんでしたし(あ、2階席までは確認してませんけど)。

 ガールフレンドのモニカ(アレクサンドラ・ダダリオ)と付き合ったり別れたりを繰り返し友人たちとボート遊びに興じていた獣医トラヴィス(ベンジャミン・ウォーカー)は、飼い犬モリーを孕ませたことと音楽がうるさいことに苦情を言いに来た隣人の医学生ギャビー(テリーサ・パーマー)に恋してしまう。ギャビーには医者の婚約者ライアン(トム・ウェリング)がいたが、ライアンが遠方に出張している間に、モリーの出産などを機にギャビーの自宅に招かれ急速に距離を縮めたトラヴィスと、ギャビーは関係を持ってしまう。ライアンが戻りギャビーと食事中の席に現れたトラヴィスは、ギャビーにプロポーズし、選択を迫る。若干の紆余曲折の末に結婚し2児をもうけ幸せに暮らす2人だったが、デートの夜に急患が現れてトラヴィスが遅れたのに業を煮やして帰るギャビーが交通事故にあい意識不明となり、トラヴィスは、主治医のライアンからギャビーが署名した延命措置拒否の書類を渡され…というお話。

 私は、「君に読む物語」は原作を読み映画は見ておらず、この作品は映画は見たが原作は読んでいないという状態ですが、やはり「君に読む物語」の2番煎じ、2匹目のドジョウ狙いに見えてしまいます。男が病院に向かうところから話が始まり、過去に戻り恋人を婚約者から奪い取る「略奪愛」の物語が長々と続き、その後幸せな日々を描いた挙句に、悲劇が訪れ、そのあと最初に戻って比較的短いストーリーでエンディングに達するという展開といい、愛を忘れぬ男の献身というテーマといい、ほとんど同じ作品のように見えました。
 夫婦に訪れた悲劇に耐え前向きに尽くす男というテーマを描くのに、激しい恋、婚約者から奪い取った愛という経緯と思い出がほしいのでしょうけれども、それが作品の大部分を占めていて、普通のラブ・ストーリーの性格の方が強いようにさえ見えてしまいます。特に、この作品のラストが、予想されたパターンではありますが、あっさりと唐突な感じがして、もう少し感動的に描けなかったのかと感じられてしまっただけに、テーマ部分がかすんでしまう印象を持ちました。
 私には、「君に読む物語」では夫が毎夜病院訪れて物語を読み聞かせるという積極的な献身を見せているのに、この作品では夫は思い出に浸りどちらかといえば自己満足的な行為に没頭していて、妻への献身という点でも今一つ感がありました。「君に読む物語」との大きな違いは、むしろその点と、婚約者を奪われた男が「君に読む物語」では弁護士だったが、この作品では医者という点か、と思ってしまいました (^^;)

2016年8月14日 (日)

ペット(吹き替え版)

 飼い主の留守中のペットたちの様子を描いたアニメ映画「ペット」を吹き替え版で見てきました。
 封切4日目日曜日、新宿ピカデリースクリーン2(301席)午前10時40分の上映は8割くらいの入り。

 捨てられていた子犬のマックスは、犬好きの少女ケイティに拾われ幸せな日々を送っていた。ケイティが出かけるのが寂しくて、マックスはケイティを出かけさせないよう懸命の芸をするのだが、ケイティを引き留めることはできず、マックスにはそれが一番の不満だった。マックスは、ケイティの留守中も、近所の他のペットたちとは異なり、飼い主の留守をいいことに乱行に及ぶことはなく、おとなしくケイティの帰りを待っていたが、ある日ケイティが保健所から大型犬のデュークを拾ってきたことから、ケイティの留守中にマックスとデュークは対立し、外へ出て保健所の職員に捕獲されてしまい…というお話。

 前半は、予告編や各種サイトでの紹介のとおり、マックスの近所に住むペットたちが、飼い主が出かけるや飼い主の前とは違う顔を見せて乱行に及ぶその姿のギャップが見せ場になっています。猫のクロエの冷蔵庫のごちそうを見て迷う姿や、ミキサーでマッサージを受けるダックスフントのバディ、テレビと扇風機でフライトシミュレーションを楽しむセキセイインコのスイートピー、そしてクラシック好きの飼い主がいなくなるやロックをガンガンかけるプードルのレナードのギャップがかわいい(しかし、公式サイトの情報のなさは、特筆ものです。予告編ビデオと劇場情報だけといってよいほどで、アニメなのにキャラクター紹介さえありません)。
 後半では、マックスとデュークの失踪と捨てられたペットたちを率いて「革命」を目指すウサギのスノーボールらの追跡、マックスの身を案じた向かいに住むポメラニアンのギジェットらのマックス探しの冒険アクションになります。マックスとデュークの友情、ギジェットのけなげで一途なマックスへの思いがテーマになり、そこが見どころに思えます。しかし、後半の展開は、たぶんこの作品の観客層の多くは今年すでに「ズートピア」と「ファインディング・ドリー」を見ていると思うのですが、似たような展開ですし、冒険ものとしてはそっちの方がきちんと作っている感じで、ちょっと今さら感があります。主役となるマックスとデュークのキャラクターも、なんだか「モンスターズ・インク」のマイクとサリーの設定に近くて、やはりどこか既視感があります(デュークの唸り声、小さい子が怖がって泣いてました)。マックスがデュークとの間で示すせこさ、ずるさもあり、ギジェットの一途さがどこか、もったいない感じもしてしまいます。
 さすがに前半のギャップだけで最後まで作るのには無理があるのでしょうけど、後半の冒険もの的な展開が中途半端で、何かもう少し工夫がほしかったなと思います。

 エンドロールの吹き替え版のキャスト紹介で、「ソーセージ界のドン 宮野真守」と大書されているのですが、「ドン」というほど大きなソーセージいなかったように思いますし、そんな声じゃなかったような…

2016年8月 7日 (日)

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ

 落ちこぼれクラスが担任教師の提案で強制収容所での子どもたちをテーマとするコンクールへの参加を通じ成長していく映画「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」を見てきました。
 封切り2日目日曜日、全国で東京の3館だけの上映館の1つヒューマントラストシネマ有楽町シアター1(161席)午前10時30分の上映は9割くらいの入り。

 パリ郊外のレオン・ブルム高校のさまざまな人種・民族・宗派の生徒が集まる1年生の落ちこぼれクラスの担任となった教師アンヌ・ゲゲン(マリアンヌ・アスカリッド)は、問題を起こし、授業の進行も遅れ、成績も悪いと校長らから指摘され、生徒たちに、子どもたちと若者たち・ナチス強制収容所での日々というテーマで歴史コンクールに参加することを提案する。当初は無理だと拒絶反応を示した生徒たちも、好奇心に駆られて準備に参加するが、チームワークができず、研究は深まらない。そんなある日、アンヌは当時15歳で親兄弟とともに連行され強制収容所を生き延びた老人レオン・ズィゲル(本人)を教室に呼び、強制収容所での父親との別れなどを語らせた。生徒たちは諍いを抑え、前向きの提案をするようになり…というお話。

 荒れていた落ちこぼれクラスの生徒たちが、1つの目標に向けて取り組むうちに成長するという、ありがちなテーマですが、生徒たちの目の表情、描き方が印象的です。
 ナチスの強制収容所を採りあげ、占領下のフランス政府がナチスに協力し、フランス国内の強制収容所から5万1000人のユダヤ人、ロマが絶滅収容所に送られた事実を直視しようとしていますが、他方でアウシュビッツに匹敵する事実を問うたアンヌに答えてアラブ系の生徒がパレスチナ人の虐殺を、アフリカ系の生徒がアルジェリア(旧フランス植民地)での虐殺を挙げたのに対して、アンヌが戦闘での行為は「民族の絶滅」を目指すものではないとして質が違うと退ける姿には疑問が残ります。アウシュビッツと「同列」でないとしても、パレスチナ人に対するイスラエル政府の行為やアルジェリア人に対するフランス政府の行為が、「戦闘行為」などとして正当化できるものとは思えません。そこは、歴史教師として直視すべきではなかったでしょうか(また、「民族の絶滅」を目指すかがメルクマールであるとすれば、この作品では挙がりませんでしたが、ルワンダ虐殺やユーゴなどでの「エスニック・クレンジング」はどう捉えることになるのでしょう)。
 アンヌの授業で、キリスト教会の地獄を描いた絵の紹介でムハンマド(イスラム教の始祖)も地獄にいると描かれていると述べて、憤激した生徒に対して、当時のキリスト教会の敵は誰かと問い敵はみんな地獄に落ちるという教会のプロパガンダだと指摘する下りが印象的です。規則にはうるさく厳格だが、権威に媚びない姿勢が生徒たちの共感を呼んだというところでしょう。

 フランスの公立高校が舞台で、スカーフ(ブルカ、ヘジャブ)の着用禁止に加えて十字架のペンダントも見えるような着用を禁止していたところ、成績判定会議とおぼしき会議に校長と教師とPTAとさらにクラスの生徒代表2名が参加しているところが印象的でした。

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