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2016年5月 8日 (日)

レヴェナント 蘇えりし者

 レオナルド・ディカプリオが5度目のノミネートでついにアカデミー賞主演男優賞を獲得した映画「レヴェナント 蘇えりし者」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、新宿ピカデリースクリーン4(127席)午前10時55分の上映は、ほぼ満席。

 アメリカ北西部の先住民の地で毛皮を取る狩猟部隊に、先住民のポーニー族の亡き妻(グレイス・ドーブ)との間の子ホーク(フォレスト・グッドラック)を連れて参加していたヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、部隊がアリカラ族に襲われて撤退する途中で熊に襲われて瀕死の重傷を負い、応急手当を受け板に載せられて運ばれるが、45人いた部隊が10人にまで減り板を担いで急な坂を登ることができなくなって、置いて行かれることになる。ヘンリー隊長(ドーナル・グリーソン)は、居残りを申し出たハンターのフィッツジェラルド(トム・ハーディ)と見習のブリジャー(ウィル・ポールター)にグラスの死を見届けて埋葬することを指示するが、動けないながらに予想外に生き続けるグラスにしびれを切らしたフィッツジェラルドは、ブリジャーが離れたすきにグラスの首を締め、邪魔立てするホークをグラスの目の前で刺し殺した。戻ってきたブリジャーに、ホークはどこかに行った、アリカラ族の追っ手20人が迫っていると嘘を言って、フィッツジェラルドはグラスを穴に放り込んで逃げた。穴から這い出したグラスは、ホークの遺体にすがりつき、復讐を決意して這いながらフィッツジェラルドを追うが…というお話。

 テーマはかなりシンプルに、「復讐」です。復讐のため、ただひたすら敵を追い続ける、行く手にどんな困難があろうとも、どんな危険があろうとも、執念深く、執拗に追い続ける。その不屈の強い意志が、テーマであり、見どころとなります。
 通常の復讐者との違いは、グラスが孤立した復讐鬼ではなく、人望があることです。熊に襲われ瀕死の重傷を負ったグラスを部隊の者たちが傷を縫い、手当てをし、先住民アリカラ族に追われて仲間が多数殺されて人手が足りなくなってもなお部隊の者たちはグラスを板に載せて運び続けます。もう連れて行けないという事態になっても、隊長は、グラスを1人置き去りにするのではなくホークの他に2人を金を払うと約束してグラスの世話のために残し、必ず死を見届けて埋葬するように指示をします。グラスが生きて戻ると隊長は砦に迎え入れて手当てをし、約束を破ったブリジャーを処罰しようとしたり、フィッツジェラルドの処刑も決意します。グラスの復讐心が周囲にも支持され、共感を呼び、こういった人の助けを得て復讐に突き進むというところが、ユニークに思えました。
 白人と先住民の関係を、アリカラ族を敵の野蛮人と描きつつ、ポーニー族とは取引関係があり、主人公のグラスをポーニー族の妻を持ち、しかもその妻を殺され、ポーニー族との間の子を思うという位置づけで描き、古い時代の西部劇的な先住民描写はしないよというスタンスを見せています。2016年のアカデミー賞が白人偏重と批判されボイコット騒ぎも起こすことを予想してのポーズというわけではないでしょうけれど。
 ディカプリオの凄惨にして陰惨な演技の迫力は評価に値しますが、熊に襲われて右脚は足首があり得ない方向に曲がった状態で、さらには熊に踏みつけられのしかかられているのですから普通に考えれば背骨も肋骨も内臓も無事であるはずがないのですが、傷を縫ったり火で炙る以外の治療は何もないのにいつの間にか普通に歩けたり走れたりしてしまう不死身ぶりの荒唐無稽さと、生理的な気持ち悪さがつきまといます(私は、見ていて気持ち悪くなりました)。ディカプリオ周辺の凄惨さと、雪原/川の流れの風景の鮮烈さの対照が印象的な作品です。

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