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2015年12月20日 (日)

レインツリーの国

 キスマイ・玉森裕太初主演作品の映画「レインツリーの国」を見てきました。
 封切り5週目日曜日、ヒューマントラストシネマ渋谷シアター2(173席)午前10時の上映は2~3割の入り。観客の圧倒的多数は若い女性同士。カップルもほとんどおらず、男性客はざっと見渡していずれもカップルの3人…

 脳腫瘍の手術をした父(大杉漣)に家族のうち自分だけが忘れられてヘルパーと思われていることに傷ついている向坂伸行(玉森裕太)は、母(高畑淳子)が切り盛りする美容室をたたむことから荷物を整理していて、下巻が見当たらない高校時代に愛読したSF学園もの「フェアリーゲーム」の結末を思い出そうとして検索したところ、同じ作品に愛着を持つ「レインツリーの国」というブログの記事に行きあたり、「伸」と名乗って管理人にメールを送った。「ひとみ」と名乗る「レインツリーの国」の管理人から返信があり、「伸」と「ひとみ」はメールを通じて親しくなり、会いたいという「伸」の強い誘いに、躊躇していた「ひとみ」はこれに応じたが、「伸」の前に現れた「ひとみ」こと人見利香(西内まりや)は、混んでいるレストランを嫌がり、映画は字幕付の洋画にこだわった。しらけ気味のデートの終わりにエレベーターに飛び乗り重量オーバーのアナウンスに動こうとしない「ひとみ」に「伸」はこんなジコチュウとは思わなかったとキレるが、「ひとみ」は感音性難聴で高音がほとんど聞き取れないのだった。謝罪のメールを送った「伸」に、「ひとみ」は健聴者にはわからない、上から目線で同情して欲しくないと突っぱねるが…というお話。

 勤務先で上司や同僚から筆談でないと伝達ができないことを面倒がられ、低音の男性の声は聞き取れるが高音の女性の声は聞き取れないことを詐病と疑われて同僚女性たちから疎まれながら、障害者枠での雇用に遠慮して自己主張せずに、ストレスを溜め、気遣う両親にさえ苛立ちをぶつける、内にこもりねじくれた「ひとみ」に対し、イケメンジャリタレの玉森裕太演ずる「伸」が根気よく説得してその心を開かせ、前向きな気持ちにさせていくという、玉森さんステキーなジャニーズさんヨイショのベタな展開の映画ですが、それなりにジンときます。
 障害者を一律に障害者、難聴者と見るのではなく、「ひとみ」についていえば、事故(登山中の滑落)での中途失聴者で、低音は聞き取れるが高音が聞き取れないという個別の癖があることを捉えているところがポイントになっていると思います。

 他方で、障害を持ち周囲に理解されない故にねじくれた障害者という設定、「ひとみ」の尻を触り、残業中に抱きついて襲う同僚を定年再雇用者とする設定には、やはり抜きがたい差別意識をも感じます。
 もちろん、人は様々ですから、横柄な定年再雇用者もいるでしょうけど、定年再雇用で給料も大幅に下げられ、1年契約の有期雇用となり、肩身の狭い思いをしながら働いている人が多いと、私は思います。定年再雇用者を不心得な悪役にしたがるのは、何か口実があれば追い出したいと思っている経営者に媚びを売るように見え、私はいやな感じがしました。

 障害者の雇用は、常時50人以上が働く企業では、2%を雇用することが義務づけられています。そして、作品中で「伸」が「ひとみ」に説明するように、雇用した障害者1人について、「中小企業」(従業員300人以下等)の場合は2年間合計120万円、大企業の場合1年間合計50万円の助成金が企業に支払われます(重度障害者の場合さらに多額になります)。障害者の雇用は法律上の義務である上に、企業にとっては安く働かせて助成金も受け取れるというしくみがあり決して慈善事業で恩恵的に雇用しているわけではありません。高齢者の雇用も同じです。
 障害者も高齢者も、経営者からは疎まれがちで、差別を受けやすい労働者です。その人々が働きやすい環境を整備することが大切だと思います。その意味で、「ひとみ」については、偉いかっこいい「伸」の理解を得るだけではなく、勤務先でも理解を得られるように闘う姿を描いて欲しいし、定年再雇用者についても、悪役に仕立てるのではなく、定年再雇用者の立場にも思いを馳せるものであって欲しかったなと思います。

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