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2015年9月13日 (日)

天空の蜂

 原発テロをテーマとしたサスペンス映画「天空の蜂」を見てきました。
 封切り2日目日曜日、新宿ピカデリースクリーン1(580席)午前10時30分の上映は8割くらいの入り。

 1995年8月8日朝、「錦重工」が製造した自衛隊の大型輸送ヘリ「ビッグB」の納品式に見学に訪れたヘリの設計者湯原(江口洋介)の息子高彦がこっそり乗り込んだビッグBが、何者か(綾野剛)に遠隔操作されて飛び立ち、敦賀市にある高速増殖原型炉「新陽」上空800m上空でホバリングを開始した。午前8時、政府に対し、天空の蜂と名乗る者から、すべての原発のタービン棟を破壊して発電不能とすることを要求し、要求が実現しない時は爆発物を搭載したビッグBを新陽の原子炉に墜落させる、燃料切れは早ければ8時間後の午後4時というメッセージが届けられた。湯原は新陽に急行し、錦重工の原発設計者三島(本木雅弘)と議論と対立、協議を重ね、高彦の救出と事件の解決に向けて知恵を絞るが…というお話。

 前半は、家庭を顧みないワーカホリックの父親と、父親に愛想を尽かし心が離れた母親の元で、父親にやや複雑な感情を持つ小学生との父子関係の絆がテーマとなっています。江口洋介の悔恨と焦燥、歓喜の演技は、東野圭吾のガリレオシリーズ主役の福山雅治よりも「そして父になる」っぽいかもしれません。この前半のクライマックスとなる救出劇は、たぶん子持ちの親には、涙なしには見られません。

 技術者としてのこだわりを見せ続ける原発設計者の三島、「新陽」にビッグBが墜落しても格納容器は壊れないと自信を持っていますが、その根拠は何だったのでしょうか。「新陽」のモデルはいうまでもなく「もんじゅ」です(そもそも日本にある高速増殖原型炉って「もんじゅ」だけですし、敦賀市にあるというわけですし)が、「もんじゅ」の格納容器って、設計圧力は内圧で0.5気圧、外圧で0.05気圧。軽水炉(普通の原発)の格納容器の設計圧力が3~4気圧なのと比べてもかなり貧弱です。設計圧力は航空機墜落の衝撃力耐性と直接には結びつきませんが、もんじゅは航空機防護設計がなされていません(設計上航空機防護が考慮されているのは青森県六ヶ所村の施設だけです)し、ビッグBが落ちてくる上方向(天井)には格納容器の外側のコンクリート壁(遮蔽壁)もなく、建屋の天井の下はすぐ格納容器(上部は厚さ19mm)です。航空機墜落に耐えられるかの評価もされておらず、技術者として、壊れないという根拠はないはずですが。

 犯人の動機と真意、サスペンスの根幹部分ですので、具体的には書きませんが、今ひとつ、この作品では理解しにくい。背景が描写されており、複雑な思いをもっていること自体は理解できるのですが、それが事件での行動と結びつくのか、結果としてどうしたかったのか、ストンと落ちません。映画の尺の関係で描ききれなかった部分があるのか、いずれは原作を読んで考えてみたいところです。

 入館者名簿の書き換え問題、筆跡の同一性がランプで照らしてみるだけですぐ判定できるのか、疑問です。率直に言えば、そんなことで時間を使うよりも入館者名簿の原本の消した跡の復元の方がよほどトライする価値があると思います。
 ラストのビッグBの処理も、あの状況になったら、ミサイルで破壊した方が楽だと思うのですが。

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