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2015年7月 5日 (日)

アリスのままで

 若年性アルツハイマー病を発症した大学教授アリスが記憶・認知能力を失っていく日々を描いた「アリスのままで」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、新宿ピカデリースクリーン5(157席)午前10時45分の上映は、ほぼ満席。

 高名な言語学者としてコロンビア大学で教鞭を執るアリス・ハウランド(ジュリアン・ムーア)は、50才の誕生日を夫の医学研究者ジョン(アレック・ボールドウィン)、長女のアナ(ケイト・ボスワース)、息子のトム(ハンター・パリッシュ)に囲まれて幸せに過ごした。アリスはUCLAに招かれて講義をした際に単語が出てこなかったことで戸惑ったが、そのまま、大学に行かずロスで劇団員として活動する次女リディア(クリステン・スチュワート)に会いに行き、大学へ行くよう勧めるが断られる。ニューヨークに帰ったアリスは、いつものジョギングコースの途中でどこにいるのかわからなくなって途方に暮れ、神経科を受診し、若年性アルツハイマー病と診断される。急速に記憶が失われ、授業でも立ち往生して、職を追われたアリスは、ジョンに長期休暇を取って、自分がが自分でいられる最後の夏を一緒に過ごして思い出を作りたいと切り出すが…というお話。

 知的能力を誇り、その能力でキャリアを築き上げてきた人物が、病によりその知的能力を次第に、それも急速に失っていくことへの恐怖感、絶望感、屈辱感がメインテーマとなっています。
 認知症の進行が、介護する側からでなく、本人の思い出せない思うに任せない苛立ち、焦り、そして恐怖感に焦点を当てて描かれ、同年代の私には他人ごとに思えませんでした。話をしていて適切な用語が出て来ないという経験は、自分でも時々あります。おじさんがよく「ほら、あれだよあれ、なんて言ったっけ」とかいう場面。それが、若年性アルツハイマー病の徴候であるとしたら、自分もまわりも大半がそうだということになってしまいますが。弁護士も、若年性アルツハイマー病が発症したら、職を追われるんだろうなぁ (>_<)
 それだけに、アリスが、記憶を失う度に感じる焦燥感、トイレの場所がわからなくなって失禁してしまったシーンでの屈辱感など、思い入れも入り涙ぐんでしまいました。

 そして、家族が若年性アルツハイマー病を発症した時に、どうふるまうか、がサブテーマとなっています。
 どんなことになっても君には僕が付いているという夫のジョンに、アリスが一緒に長旅をしたいという「最後の夏」を控え、メイヨ-・クリニックからオファーが来ます。「1年待てないの」と聞くアリスに、ジョンは、大学とは違う、1年後にはオファーがあるかどうかわからない、それに1年間仕事をしないでいられない、経済的にもと答えます。妻と思い出が作れるのは、たぶん、この夏まで、他方、ジョンにとっては年齢的に見てひと花咲かせる最後のビッグ・チャンス、それもオファーは天下のメイヨ-から。子どもが一番かわいい時期に、残業漬けでほとんど家にいられない多くの父親たちの場合と同様、多くの男はここで、仕事を選んでしまう、家族の介護に背を向けて…というメッセージが見えます。ジョンが、アリスを連れて赴任しようとするのを、アリスから私はずっとここで生きてきた、ここしかないと言われてしまうところからも、男の目には、これで非難されるのではジョンがかわいそうに思えるのですが。

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