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2015年6月21日 (日)

グッド・ストライプス

 交際4年のマンネリカップルができちゃった婚をすることになり相手を見つめ直す恋愛映画「グッド・ストライプス」を見てきました。
 封切り4週目日曜日、現時点で全国3館、東京で唯一の上映館の新宿武蔵野館2(84席)午前11時の上映は8割くらいの入り。

 8月、28才のウェブクリエイター真生(中島歩)が3か月のインド出張となり、交際相手の緑(菊池亜希子)とインド料理店で2人の送別会をするが、雰囲気は盛り上がらず、うちに寄ってくと誘う真生に緑は気が乗らない様子。インドから真生は緑に毎日メールを送るが、緑は素っ気ない返事を返し、2か月後にはメールも返さなくなった。10月のある日、妊娠に気がついた緑は、11月に帰国した真生とともに真生の母(杏子)の産科を受診し、妊娠5か月だと告知される。産科の休憩室で真生から「結婚するよね」と言われた緑はその場で承諾し、緑は真生の部屋に引っ越す。緑の飼う亀のカシオペアの水槽の置き場所やCDの整理など細々としたところで衝突しながら日々が過ぎ、真生は小学生の時に別れたきりの父親(うじきつよし)と連絡を取り、緑がアルバイトを続けるレストランで引き合わせた。次は2人で緑の実家を訪ねることになり、お姉ちゃんとは話さないでという緑を尻目に真生は姉に緑の部屋に案内されて金髪で口ピアスをする緑の写真を見て…というお話。

 大雑把で我が強い緑と優柔不断で神経質な真生のマンネリカップルが、緑の妊娠を機にできちゃった婚をすることになり、同居し、相手の家族と会う過程で、4年間交際しつつも知らなかった相手の性格や出自を知り、衝突しながらも相手を再認識し関係を深めていくというのがメインテーマとなります。些細なことで衝突しながらもともに過ごす日常の中で相手をいとおしく感じていくしみじみとした情の深まりが微笑ましく思えます。
 この2人の関係が続くのには、緑の側では我が強くてもそれは自分の気持ちに正直なというレベルで意地悪ではなく真生を追いつめる姿勢がなく、真生の側では神経質に文句を言いつつも緑の行動を制約する物言いはせずキレないということが、大きく寄与しているように思えます。
 しかし、バンドをやりたくて東京に出て来た自由への欲求が高い(亀にカシオペアと名付け左腕に亀のタトゥーをする緑は、当然に、ミヒャエル・エンデの「モモ」の信奉者でしょう)貧しい生まれで現在もレストランでアルバイトを続けるワーキングプアの女性が、小学生の時に両親の離婚を経験したとはいえ母親は産科の医者で別れた父親もそれなりに知名度のあるカメラマン、大学時代の友人は気取ったビジネスマンばかりで自分も仕事で苦労する場面が一度も出てこないカタカナ仕事の中流より上層出身の苦労知らずの男性と、神社で神前結婚をして仕事を辞めて専業主婦になるという形で、牙を抜かれ社会秩序に組み込まれていくという点が、いやらしく感じられます。個人の性格レベルで言えば、緑の方が真生よりも強くたくましいにもかかわらず、「女性」である緑が「男性」である真生に、「貧しい生まれ」である緑が「恵まれた生まれ」の真生に、依存して生きる道を選んだ/選べというメッセージも、見て取れるわけです。
 真生の覇気のなさ、中身のなさは、私のようなおじさんには、見ていてイライラするほど。緑の妊娠中、緑が遅くなるのを幸いに(だいたい同居の婚約者が遅くなると電話してきて「やった」ってつぶやくくらいなら、結婚しなきゃいいと思う)大学時代の女友達と、逢瀬を重ね、それでいながらセックスしていて「動物みたい」とつぶやく(相手にそう言うなら自分は何?)真生の人間性、それが誰からも非難されることもなく、こともなげにハッピーエンドにつなげていく構成は、この人物を肯定的に描いているのだと思いますが、私には終始一貫、真生という人物を理解できず、好感を持てませんでした。冒頭に、真生が「緑は心が死んでいる」と(心の中で)つぶやくシーンがありますが、その時点から最後まで、心が死んでるのはお前だろうがと思い続けていました。幼い頃から、何かを期待するとそれと違うことが起き続けてきたから何も望まなくなったと言い、それを結局は父親のせいにする(憧れていた父親が自分の期待と違う態度をとったことで拗ねて怒りを露わにする)真生には、私は同情も共感も感じられませんでした(制作者は真生をかわいそうと思えという意図でしょうけど)。

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