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2015年5月

2015年5月24日 (日)

フォーカス

 天才詐欺師とその下で頭角を現した新進の詐欺師のロマンスを描いた映画「フォーカス」を見てきました。
 封切り4週目日曜日、シネ・リーブル池袋シアター2(130席)午前10時15分の上映は2割くらいの入り。

 詐欺師集団を束ねる天才詐欺師ニッキー(ウィル・スミス)は、レストランで食事中に声をかけて美人局を仕掛けてきたスリのジェス(マーゴット・ロビー)を軽くいなし、スリと詐欺の極意を教えてくれと迫るジェスに相手の注意力( Focus )をそらせと教える。アメリカン・フットボールの決勝戦に沸くニューオーリンズまでニッキーを追ってきたジェスは、ニッキーが指揮する30人規模のスリ/窃盗グループに迎えられ、めきめきと頭角を現す。数日のうちに観光客・観戦客から110万ドルの荒稼ぎをしたチームは解散し、ジェスはニッキーと2人で決勝戦を観戦するが、フットボールには関心がないというジェスにニッキーはショートパンツの女性に何人の男が振り向くかなどの賭けを持ちかけ、そこに近くの席にいた富豪が割り込んでくる。その男は伝説の中国人ギャンブラーで、ニッキーは賭に負け続け、ジェスはニッキーをホテルに戻そうとするが…というお話。

 前半のエピソードは、ほとんどがスリなので、弁護士の/少なくとも日本の刑法学的な頭では「詐欺」じゃなくて「窃盗」だろと思ってしまいますが、ウィル・スミスがマーゴット・ロビーに教えるように、相手の注意をそらすことにポイントがあり、そのアクションがあるから、騙す要素が入って、やっぱり「詐欺」なのかなというところでしょうか。
 スリチームの解散後の展開は、ようやく「詐欺」らしくなってきます。話が展開するにつれ、ひねり、どんでん返しがあり、飽きさせない構成にはなっています。公式サイトの「STORY」の最後には「騙し、騙される2人の行く末に、驚きの結末が待っている!」と書かれています。確かに、驚かせてくれると思いますし、基本的には、単純にその流れを楽しむエンタメ映画だと考えた方がいいでしょう。ただ、中間に3年間のブランクが入って、ストーリー的にぶっつりと切れてしまい、そこで流れというかまとまりが悪い感じがしました。
 詐欺師同士の恋愛というテーマが、何が本当?、どれが本心?という疑いと見方の幅とあいまって、単純にも/そりゃないでしょとも、複雑にも/裏の裏にも、さまざまな解釈ができそうな、一筋縄ではいかない心情の綾/奥行きを出しているように見えます。
 でも、単純にニッキーと戯れるときの、マーゴット・ロビーの笑顔がかわいい(たとえて言えば、「モテキ」の長澤まさみのような (*^O^*)。
 主役2人とは別に、道化役のファーハド(エイドリアン・マルティネス)が光っていると、私には思えました。登場する度に、恋愛ものが「ハング・オーバー!」に変わる印象ではありますが。

2015年5月10日 (日)

ラスト5イヤーズ

 作家として成功する夫と女優を目指すが実を結ばない妻のすれ違いを描いたミュージカルを映画化した映画「ラスト5イヤーズ」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、全国10館東京で2館の上映館の1つヒューマントラストシネマ有楽町シアター2(62席)午後5時05分の上映は6割くらいの入り。

 作家を目指して投稿していたジェイミー(ジェレミー・ジョーダン)は、ランダムハウス社から20万ドルの稿料での出版のオファーを受け、ガールフレンドのキャシー(アナ・ケンドリック)と深い仲になる。キャシーは地元のオハイオ州でオーディションを受け続けるがなかなかうまくいかない。作家として成功の階段を上るジェイミーはキャシーに結婚を申込み2人はニューヨークで暮らし、ジェイミーは出版社の開くパーティーの主賓となりキャシーも同伴するが、知人らに囲まれるジェイミーをまのあたりにして自分は知らぬ人の中に埋もれジェイミーの付き人かと思われるキャシーは心穏やかではない。ニューヨークでもオーディションに受からないキャシーは、ジェイミーの励ましを受けながらも沈み込み、ジェイミーのパーティーに出席することを拒否するようになり…というお話。

 夫の作家としての成功を、当初は喜び祝福していたキャシーが、私は夫の一部と歌い、それも当初はそれでいいという姿勢だったのが、私は夫の後ろを歩くようになった、並んで歩くのではなく、となり、自分が女優として成功できないこととあわせて、それが我慢ならないこととなって亀裂が生じていきます。
 夫婦が協力し合うという気持ちではなく、ライバルとして張り合うような心情とも見え、そこが哀しいようにも思えます。
 しかし、それは「では、I will follow you でいいのか」という問いかけでもあり、当初は I will follow you でいいという姿勢を見せたキャシーがやはりそれでは飽き足りない、情けないという思いを持つようになったことは、評価しておきたいところです。
 もっとも、ジェイミーは、自分の成功のみを追ってキャシーに付いて来いと主張していたわけではなく、キャシーの成功を願い励まし続けています。クリスマスにオーディションに落ちてへこみ沈み込むキャシーをジェイミーが「物語」で慰め励ますシーンは感動的です。ジェイミーは、キャシーが自分の夢を追うことを批判も邪魔立てもせずに、ただ自分のパーティーには気が進まなくても出て欲しいと求めますが、キャシーはそれも我慢ならなくなります。このあたり、夫側の視点で見ると切なくもの悲しくなります。

 キャシーの物語は別れが決まってからジェイミーとの始まりまで遡り、ジェイミーの物語はキャシーとの始まりから別れまで順に進む形で、交互に進みます。そのため、最初から2人が別れに至ることは既定事実とされ、観客の興味は、2人のすれ違いの描かれように絞られます。エピソードが時間軸をクロスするという趣向は、2人の思いや人生のすれ違いを象徴する意味でしょうけれども、途中から次のシーンが予測できるようになり、その観客の予測をどうあしらうか、予測通りの線で情的に深めるか、視点(話者)が変わることでその場面の意味づけを大きく変えて観客の予測を裏切るかがストーリー展開の味を左右することになります。その点では、私には、キレがあまり感じられませんでした。

2015年5月 3日 (日)

シンデレラ

 ディズニーがアニメ化で大成功した「シンデレラ」の実写版映画「シンデレラ」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、新宿ピカデリースクリーン2(301席)午前9時40分の上映は8割くらいの入り。観客の年齢層はばらけていますが、多数派は女性同士、次いでカップル。

 裕福な家庭で何不自由なく幸せな日々を送っていたエラ(リリー・ジェームズ)は、死の病に見舞われた母(ヘイリー・アトウェル)から、「勇気と優しさ」を忘れないよう言い残された。母の死後父(ベン・チャップリン)は、2人の子持ちのトレメイン夫人(ケイト・ブランシェット)と再婚した。派手好きのトレメイン夫人は毎晩のようにパーティーを開いたが、エラはなじめず、同様に飽きて仕事をする父から、お前のことを心配している、死んだ母を今も愛していると慰められる。その光景をトレメイン夫人が密かに見つめていた。遠くに仕事の旅に出る父に、土産の希望を聞かれて最初に肩に当たった木の枝を持ち帰るよう求めたエラは、その後木の枝を手にした父の従者から、父の死を知らされる。未亡人となったトレメイン夫人は使用人を全員解雇し、エラにすべての家事をさせ、屋根裏部屋で暖をとることも出来ないエラは暖炉の燃え残りに寄り添って寝て灰まみれになる。その姿を見たアナスタシア(ホリデイ・グレインジャー)とドリゼラ(ソフィー・マクシェラ)はエラを灰まみれのエラ/シンデレラと呼ぶようになった。ある日、いじめに耐えかねて馬に乗り森を駆けていたエラは、狩りをする「見習のキット」と名乗る若者(王子:リチャード・マッデン)と出会い、鹿を殺さないように求めた。王宮に帰り、父王(デレク・ジャコビ)から舞踏会で后選びをして他国の王妃と結婚することを求められた王子は、舞踏会で后選びをするが国中のすべての娘を招待したいと申し出る。舞踏会のお触れを聞いたトレメイン夫人は借金まみれの生活からの脱出の機会と喜び、エラは城の舞踏会に行けば「見習のキット」に会えると胸をときめかせるが…というお話。

 「イントゥ・ザ・ウッズ」(アメリカでは2014年12月27日公開、日本では2015年3月14日公開)、「シンデレラ」(アメリカでは2015年3月13日公開、日本では2015年4月25日公開)と、連続してシンデレラを登場させたディズニーですが、「イントゥ・ザ・ウッズ」ではグリム童話に比較的忠実に描き、「シンデレラ」ではペロー童話の線というか、ディズニーアニメの線で描き、お話がかなり違っています。シニカルで厳しい展開のグリム童話系と甘いファンタジーのペロー童話系を続けて見せるのは興行戦略としていかがなものか、そしてもしあえてそうするなら順番が逆じゃないかと、私は思ってしまうのですが。
 ペロー童話の構成で描きながら、唯一とも言えるグリム童話特有のエピソードを入れて、シンデレラに旅立つ父に対して最初に肩に当たった木の枝を持ち帰るよう求めさせたのはなぜでしょう。グリム童話では、父が持ち帰ったハシバミの枝を母の墓に植えてそのハシバミの木を灰かぶりの守護者とする流れですが、この作品では後のエピソードにつながらず浮いています。
 ペロー童話とも、そしてディズニーアニメとも違う重要な点として、今回、エラが舞踏会の前にすでに王子と会っており、ともに相手に惹かれていたというエピソードと、エラに対し思いやりを見せ死んだ元妻を思うエラ父の姿を睨むトレメイン夫人のエピソードが加わっています。いずれもなぜそうなったか(なぜ王子がシンデレラに惹かれたのか、なぜトレメイン夫人がエラを憎んだのか)を説明する人間ドラマを付け加え、納得感を得やすくしたものと言えるでしょう。しかし、後者は、どうも「マレフィセント」の2匹目のドジョウを狙っている感じがしますし、それにしては中途半端に思えました。
 ささやかな点ですが、ペロー童話のシンデレラで、カボチャの馬車やトカゲの従者等の魔法が解けてもガラスの靴はなぜそのままなのかという、最大の疑問について、魔女が、「靴の魔法は得意なの」と言っているのに納得してしまいました。そうか、他の魔法は得意じゃないからあまり長くもたないが、靴の魔法は得意だから…って、まぁ都合のいい後付けではありますが。

 本編開始前に、「アナと雪の女王」の後日談短編アニメ「エルサのサプライズ」が同時上映されています。そちらが目当ての観客も、たぶん相当数いたかと思います。「アナと雪の女王」を見ていれば、姉から拒絶されて育ったアナ、もしくはアナを間違って傷つけないために拒絶せざるを得なかったエルサの心の痛みが、記憶に残っていますから、エルサがアナのためにアナの誕生日のサプライズを用意し、それを受けてアナが感激するという展開だけで、温かな気持ちになれます。ほぼそれだけの短編ですが、観客の満足度は割と高いでしょう。

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