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2015年1月18日 (日)

薄氷の殺人

 2014年ベルリン映画祭金熊賞のサスペンス映画「薄氷の殺人」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、全国6館東京で2館の上映館の1つヒューマントラストシネマ有楽町シアター1(161席)午前9時45分の上映は1~2割の入り。

 1999年夏、石炭工場に送られてきた石炭の中からバラバラ殺人死体が発見され、死体とともに見つかった身分証明書にはリアン・ジージュン(ワン・シュエビン)の名が記されていた。妻から離婚を突きつけられた刑事ジャン(リャオ・ファン)は、石炭を運んだトラック運転手を逮捕しようとして抵抗され、銃撃されて負傷する。2004年冬、警察を退職し警備員となって酒浸りの生活をしていたジャンは、元同僚のワン刑事(ユー・アイレイ)から、新たな殺人事件の被害者が、リアン・ジージュンの妻ウー(グイ・ルンメイ)と交際を始めた男で、その前にもウーと関係を持った男が殺されていたことを聞かされる。ジャンは、ウーが勤めるクリーニング店を訪れ、店主(ワン・ジンチュン)からウーの過去を聞き出そうとするが…というお話。

 「疑惑の女」とされるウーの男運のなさというか、薄幸の女ぶりが哀感を誘います。リアン・ジージュンとの夫婦生活や、その後殺された2人の男との関係が描かれていないので、よくわからないところはありますが、失敗の負い目につけ込まれて犯され、店主からも関係を迫られ、弱みを握ったジャンにも犯される姿はあまりに哀しい。
 公式サイトのイントロダクションでは「ふたりが体現する哀愁、官能、狂気をまとった罪深き愛のかたちは、ただならぬ凄みを発散し、観る者の胸をざわめかせ続ける」と書かれているのですが、そしてウーを追い続けるジャンの様子にはある種の恋愛感情を見出せないわけではないのですが、結果的に真相を知りウーの弱みを握ったジャンが取る姿勢を、またウーの世をすねたような投げやりな姿勢を見て、これを「愛」と呼ぶことには抵抗を感じます。
 構成・展開は、ジャンの視点からジャンを中心に描かれていますが、終盤の展開でジャンの姿勢には嫌悪感を持ち、ウーの側からの評価に傾いてしまいます。
 「言えない秘密」のあのキュートな愛くるしいグイ・ルンメイが、こんなにもニヒルな薄幸の女になってしまうことに、驚くとともに切ない思いを持ちました。

 冒頭、ジャンと別れる妻が、「最後の1回」のセックスをするシーンがあり、その後あきらめきれないジャンがさらに迫って振り切られますが、「最後」とわかってするのってどういう気持ちなんだろう。

 原題は「白日焔火」で白昼の花火。このタイトルがあればこその終盤からラストだと思うのですが。
 冒頭に映像なしで俳優らの名前が続き、まるで最初にエンドロールがあるよう。その構成でありながら、制作関連会社のロゴ・アニメは4つも続いて出て来ますが、ベルリンの熊さんは登場せず。浮かれていないよということでしょうけど、客席の閑散ぶりを見ると、もう少し観客の気を惹くことを考えた方がいいかも。

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