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2014年4月12日 (土)

アデル、ブルーは熱い色

 第66回(2013年)カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作「アデル、ブルーは熱い色」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、東京で3館の上映館の1つヒューマントラストシネマ有楽町シアター1(162席)午後0時20分の上映は9割くらいの入り。18禁に期待を寄せてか男性1人客が比較多数を占めているように見えましたが、映画のテーマとパルムドールも手伝ってか18禁映画にしては女性1人客も目につきました。

 文学を学ぶ高校2年生のアデル(アデル・エグザルコプロス)は、3年生のトマ(ジェレミー・ラユルト)が見つめているのを友人たちに冷やかされ、通学バスで話したのを機会にトマとデートすることになるが、その途中交差点ですれ違った青い髪の女性(レア・セドゥー)と視線が合い心に衝撃を受ける。トマとHしたもののアデルの心はすれ違った女性に囚われ、アデルは翌日トマに別れを告げる。傷心のアデルは同級生に誘われてゲイの集うクラブに行くがなじめず抜け出して1人でバーに入ったところ、そこはレズビアンが集うバーで、偶然にもアデルと道ですれ違った青い髪の女性がいた。その女性はエマと名乗り美術学校の4年生だというが、同伴していた女性たちに引っ張られて去ってしまう。翌日アデルの下校時にエマが待っており、アデルは友人たちを置いてエマと美術館を巡り林の中のベンチでエマがアデルのデッサンをし、アデルはたちまちのうちにエマの虜となる。エマと同居して数年がたち、希望通り教師となって幼い子どもたちに国語(フランス語)を教えるアデルと、アデルをモデルに作品を描き続け個展を目指すエマは幸せな日々を送っていたが、エマのパーティで招待客の旧友のリーズ(モナ・バルラベン)と親しく話し続けるエマの姿に不審を抱いたアデルは、エマがリーズをモデルに絵を描いて遅くまで戻らないある夜、かねてからアデルを誘っていた同僚の教師と肉体関係を持ってしまい…というお話。

 作品としては、アデルがエマの虜になり、エマと暮らすようになるまでの前半と、エマとの暮らしが続きリーズの登場とアデルの嫉妬、同僚との浮気という展開の後半の2つに分かれます。国語(フランス語)の授業の中で「一目惚れ」などが語られ、エマとの衝撃的な出会い(トマとデートした夜でさえ、エマとHしている夢を見てしまう/ひとりHしてしまう)に、上級生男子との恋、同級生女子の戯れを挟んで同性愛に目覚めつつ揺れるアデルがエマとの再会を機に突っ走る前半は、テンポもよく、きちんと作り込まれている印象を受けます。これに対して後半は、パーティーで会ったアメリカの映画俳優サミール、同僚の教師、エマの旧友(愛人?)のリーズと攪乱分子が登場しますが、今ひとつキャラクターを使い切れていない印象があり、原作(コミックだそうです)を追うために作って流しているような印象を受けました。ほぼ3時間(179分)の長尺ということもあり、後半が冗長に感じられました。アデルの切ない思いを引きずるエンディングを見せるためには、後半がある程度必要でしょうけれども、もっと圧縮してもよかったんじゃないかと思います。

 トマとすぐHしちゃったり(それも騎乗位で)、同級生の女子から好きと言われたらその場ですぐねちっこいキスをしたり、不安定な心で多情気味のアデルが、エマに一途な恋心を持ち心の安定を得ていく様子が好ましく微笑ましい。
 アデルの心の安定度は、髪をいじる/髪型を変える頻度に表れるようで、最初の方では髪を縛ってアップにしたかと思うと引っ張って一部崩したりばらしてみたりと頻繁に髪をいじっています。これがエマとうまく行くと髪を触らなくなります。そういうあたり、アデルのメンタル面での成長が感じられたのですが、後半でパーティーのあたりからまた髪をいじり始めますし、同僚ともHしちゃうし、その後も「行きずり」「一夜限り」の関係は持つしと、結局元に戻っちゃうのか、成長してなかったのかなぁと思えてしまいます。
 好きな人がいて思い続けているのに、無性に寂しくて浮気/その場限りの関係を結んでしまう、その結果ますます想い人から遠ざかられる切なさというのが後半のテーマですが…。無性に寂しいから浮気をがまんできないというのを許せるか/共感できるか、そこはちょっと私には難しいところです。

 アデルとエマのレズビアン・セックスのシーン、きれいに撮れていると思うし基本的には微笑ましく見えるのですが、エマが何度かアデルのお尻を叩く(スパンキング)のは違和感がありました。女性同士の関係にあえて暴力的契機を入れる必要はないと思うのですが、それは私の先入観なりイデオロギッシュな見方でしょうか。アデルの父もエマの義父も料理自慢という、マッチョでない家族関係(アデルの父には少し権威主義的な態度も見えますが)を設定していることなど、自由と平等の感性をベースにした映画に思えるだけに、私にはちょっと残念に思えました。

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