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2014年3月 2日 (日)

ラッシュ プライドと友情

 1976年のF1グランプリを争った2人の天才ドライバー、ニキ・ラウダとジェームス・ハントを描いた映画「ラッシュ プライドと友情」を観てきました。
 封切り4週目日曜日小雨の中、新宿シネマスクエアとうきゅう(224席)午前11時30分の上映は4割くらいの入り。

 酒とドラッグと女に溺れる享楽的な生活を送りながら天才的な走りを見せドライバー仲間の人望もあるジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)と、禁欲的で徹底した車のチューンアップと冷静なドライビングで勝利するニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)。性格も生活態度もドライビングも対照的な2人は1970年F3のレースで相まみえた。終始ハントと競り合いながら最終回にコースアウトしてリタイアとなったラウダは、優勝したハントに中指を挙げて会場を去った。財閥の家に生まれたが父親に反対されて支援を得られず独力で銀行と交渉して巨額の融資を得たラウダは、資金不足のF1チームに乗り込み、チューンアップの才能と運転技術を見せつけ次第にのし上がり、1975年には名門フェラーリのエースドライバーに登り詰め、恋人マルレーヌ(アレクサンドラ・マリア・ララ)の精神的支援も得て、この年ワールドチャンピオンとなった。他方、初期からのパトロンヘスケス卿(クリスチャン・マッケイ)の資金で独自チームでF1参戦していたハントは、スーパーモデルのスージー(オリビア・ワイルド)と結婚したものの酒もドラッグも浮気もやめられずスージーから愛想を尽かされ、ヘスケス卿は破産してチームは解体、友人らの推薦でたまたまドライバーの欠員が生じた名門マクラーレンのドライバーに収まって1976年のシーズンを迎えた。序盤戦、ラウダが圧倒的リードするがハントが盛り返しつつあった8月1日ドイツGP。世界一危険なサーキットと言われたニュルブルクリンクは悪天候に見舞われ、ラウダは危険すぎるとレースの中止を訴えるが、主催者が召集したドライバー会議でハントら多数が反対し、レースは決行され…というお話。

 常に死と隣り合わせを意識し、楽しまなきゃやってられないと、酒とドラッグと女に溺れる享楽的な生活を送る一方で、レース直前にはいつも緊張して吐いてしまうハントと、レースには20%の死の危険がある、それは承知の上だがそれを超える危険は受け入れられないと悪天候下のレースの中止を訴えるラウダ。一般的には、ハントの方が支持され、またハントの生き様をうらやむと思いますが、冷静に頭を働かせながら20%の死を受け入れると言い切るラウダには凄みを感じますし、またプロとしてみた時には正論とも言えるでしょう(もしレースの死のリスクが20%だったら年間16戦やったら生存確率が3%弱になってしまいますが、それはさておき(^^ゞ)。運命のドイツGPの直前、恋人として支えてきたマルレーヌと結婚し、結婚して幸せになったことで守るべきものができ自分が弱くなる、迷いが生まれると、ラウダに言わせることで、それまで人間味のない敵役に見えたラウダを観客にアピールする演出が巧みです。

 クラッシュして炎に包まれ顔と肺に重度の火傷を負って瀕死の重傷のラウダを見守り看護するマルレーヌ、傷も癒えぬ身でレースへの復帰の意思を見せるラウダを観る辛そうなマルレーヌの表情など、ラウダ側の沈痛な思いと不屈の闘志の映像が続いた後、ラウダの復帰記者会見が開かれます。映画の観客はもちろんのこと、経過を考えれば誰でもがラウダの復帰にエールを送りたい心情だと思える中で、1人の記者が、「奥さんはその火傷の顔を見てどう言ったか」「正直その顔で結婚生活を継続できるのか」と質問し、ラウダは記者会見の席を蹴ります。人間性のかけらも感じられない最低の記者だと思いますが、同僚の記者たちは「目立ちたがりな奴」と茶化す程度で普通に受け止めていますし、本人に至っては会場にいたハントを捕まえて言ってやったぜとばかりに得意げに振る舞う始末。怒ったハントが、その記者を小部屋に連れ込んで顔を殴りつけ「奥さんにその顔の感想を聞くんだな」と言い残して去るシーンが印象的です(見ていて、ハントが記者の顔を殴りつけるのを、つい「もっとやれ」「殴るだけじゃなくて踏みつけてやれ」とか思ってしまった自分が、また怖かったのですが)。
 このシーンは、ハントのラウダへの友情を示しているわけですが、同時に、レーサーたちが命がけで闘っている場面に自らリスクを負わない無責任な部外者が小賢しい介入をするんじゃないというプロの意識の表れでもあると思います。
 この作品の中で、このシーンとそれに続くラウダの復帰戦が、実は一番の見どころと、私は思います。

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