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2013年12月 7日 (土)

ザ・コール 緊急通報司令室

 誘拐され車のトランクに閉じ込められた女性からの緊急通報を受けたオペレーターが救助のために奮闘する映画「ザ・コール 緊急通報司令室」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、看板館ながら2週目にして一番狭いスクリーンに格下げしたヒューマントラストシネマ渋谷シアター3(60席)午前10時30分の上映は8割くらいの入り。「おもしろさ絶対保証キャンペーン」と銘打ってはいますが、11月30日(封切り初日)から12月8日までに見た客で「おもしろくなかった…と感じたお客様に、支配人からのお詫びの気持ちとして、次回当館でお好きな作品が1,200円でご鑑賞頂ける割引券をお渡し致します」として、実は見る前から全員に割引券を配ってました。実質は映画館の販売促進セールかもしれませんが、「つまらなかった方へ…ごめんなさい」なんて大書されたカードを配られたら、それだけでよほど入りが悪いのか/評判が悪いのかと思ってしまいました。

 警察への911緊急通報(日本の110番に当たる)を受けるロサンジェルスのコールセンターのベテランオペレーターのジョーダン(ハル・ベリー)は、ある日、自宅に男が侵入しようとしているという少女からの通報を受け、2階の窓を開けて飛び降りたように装って隠れるように指示し、言う通りにした少女からうまく行った、男は出て行ったようだと回答を得てホッとするが通信が切れて慌ててコールバックしてしまい、その呼び出し音に気づいた男が戻ってきて、少女は殺害されてしまう。自責の念に駆られたジョーダンは、恋人のフィリップ警察官(モリス・チェスナット)や上司からジョーダンのせいじゃないと慰められるが、一線を退き後進の教育担当に転進した。しかし、6か月後、ジョーダンがオペレーター希望者を案内してコールセンターを訪れたとき、薬をかがされて車のトランクに閉じ込められた少女ケイシー(アビゲイル・ブレスリン)からの緊急通報があり、ケイシーが通報に使った携帯電話が友人のプリペイド電話で居場所情報が表示できないため電話を受けたオペレ-ターが対処できず、ジョーダンが交代する。ジョーダンの指示で車のテールランプを外して手を外に出したケイシーを見つけて後続車から通報があり車の所在を突き止めた警察は現場へと急ぐが、犯人のマイケル(マイケル・エクランド)も異常に気がつき…というお話。

 自分の指示・判断に人の生死がかかり、しかも迅速な判断・対応が求められる緊急通報司令室オペレーターの極度の緊張感・緊迫感と失敗したときの絶望感・自責の念が、最も見応えのあるテーマと場面で、そのオペレーターの心理をハル・ベリーが好演していたと思います。司令室全体の様子も、リアリティを感じさせました。
 映画としては、ケイシーからの連絡が途絶えた後、ジョーダンとしてはまわりから家で休めと言われてもそうはいかず、ケイシーからの連絡が期待できなければ現場へという流れになるのでしょうけれど、そこからはリアリティに欠けて行く印象を持ちました。ジョーダンの能力という点からしても、情報を集約する立場で判断し現場の警察官に指示し手配するのがジョーダンの仕事であり、また最も能力を発揮する方法である訳で、ジョーダンは現場に行ったら「ただの人」ですし、もしケイシーから再度連絡があったらどうするのか、その時はジョーダンが司令室にいてこそ対応できるはずです。私の感覚では、あくまでもジョーダンは緊急通報司令室に残り、警察官を現場に向かわせて指示することに徹した方が、リアリティと緊張感を維持できてよかったのではないかと思えました。
 後半のジョーダンが現場に向かってからの展開は、ストーリーとしては意外性やスリリングさを持たせているのですが、私は、技巧に走ってリアリティが失われていると感じました。ここは、好みが分かれるかもしれません。

 たぶん映画だからだとは思いますが、警察の緊急通報司令室で、名前を入力しただけで写真入りの個人情報がすぐさま出てくるというのは、ちょっと怖い。人の生死がかかっている緊急事態に人命救助のためという場面で見せられていると違和感を感じなくなってしまうのですが、こういうシステムがありデータベースが完備すれば、権力者・官僚は好き放題に個人情報を引き出し人々を管理できることになります。日本でも住基ネットに共通番号制度と行政による個人情報の管理と利用のシステムが蓄積されていますから、既にかなりの程度こういうシステムができているかもしれません。そういうことはきっと「特定秘密」にされて私たちには知らされずに運用されるのでしょうけれど。

 犯人がケイシーの携帯電話に気づき、ジョーダンが既に指紋から割り出した犯人の名前を呼ぶシーン。ジョーダンは、その子を傷つけずに解放してというだけで、今ならまだ間に合うと強い説得ができません。既に警察が把握しているだけで2人を殺害している(実際にはそれ以上に殺人を犯している)マイケルにとって、捕まれば死刑(カリフォルニア州は死刑存置州)確実ですから、逮捕を避けるためにあと何人殺しても同じ。今なら死刑にならずに済むとは言えませんし、言っても効果がありません。死刑制度があるがために、既に殺人を犯してしまった犯人のその後の暴走の歯止めがなくなるという、重罰化のジレンマを、弁護士としては感じてしまったシーンでした。

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