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2012年12月 9日 (日)

007 スカイフォール

 50周年を迎えた007シリーズ23作目最新作「007 スカイフォール」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、新宿ミラノ2(588席)午前10時30分の上映は2~3割の入り。

 イスタンブールでMI6が各地に潜入させているスパイのリストが何者かに奪われた。襲撃現場に駆けつけたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)にM(ジュディ・デンチ)は銃撃された仲間の救助を後回しにして犯人を追跡するよう指示し、ボンドは現場にいたスタッフのイヴ(ナオミ・ハリス)とともに犯人を追い疾走する列車上でもみ合いとなる。車で追うイヴの追跡が限界となったところで、もみ合うボンドと犯人が離れず狙撃は無理と報告するイヴにMはいいから撃てと命じ、イヴの撃った弾はボンドに命中し犯人を取り逃がしてしまう。その後、MI6本部が爆破され、スパイリストの一部がネットで公表され、Mは窮地に陥る。犯人の狙いはMにあると見たボンドは・・・というお話。

 最新鋭の武器・小道具を見せてきたシリーズのはずですが、今回はむしろボンドの老いを前に出して、前世紀の遺物扱いのボンドが意地を見せるという趣向です。銃撃されて行方不明となり死亡扱いされた3か月後にMI6に現れたボンドが再登録のために試験を受けるが体力テスト、銃撃テストで不合格というシーンは身につまされます(私も、今もう一度司法試験受けたら通らないだろうし(^^ゞ)。ダニエル・クレイグの無精ヒゲが白いのもやはり老いを感じさせます(私も実感しているのですが、髪よりヒゲが先に白髪が多くなりますよね)。
 アクションも、最初の方のバイクで屋根の上を疾走するカーチェイスと疾走する列車上での追跡・格闘が見せ場で、その後も基本はむしろオーソドックスでアナログな格闘・銃撃が続き、終盤など最新のテクノロジーを使わせないという意図でスコットランドの高原が戦場に選ばれるという具合。

 冒頭から続くMの指令の非情・冷酷さ、それが過去から続くものであることが示され、ボンドの忠誠心が試されるというテーマは一応ありますし、ソニー・ピクチャーズの例によって不親切の極みの公式サイト(今回はキャラクター紹介があるだけでも異例の親切さかもしれませんけどね)のわずか103文字の「ストーリー」でも「Mが過去の亡霊に付きまとわれるにつれて、007の忠誠心が試されることになる。」と38文字(36.9%!)も費やしてそう言っています。しかし、ボンドの葛藤は、復帰後はほとんど描かれず(復帰前の描写はごくわずかですし)、大きなテーマになっているようには見えません。

 シリーズとしての興味からは、初めてジェームズ・ボンドの素性(といっても幼少時代だけですが)が明かされること、新しい上司とスタッフを迎える展開があること(次作でもこの上司とスタッフは登場するんでしょうね)あたりが新味でしょうか。
 スカイフォール( skyfall )はボンドが撃たれて鉄橋から湖にそして滝( waterfall 、falls )から落ちる( fall )ことではなく(それもかけてるんでしょうけど)、ボンドの生家の館の名前あるいは周辺の地名(標識はあるけど他に建物が見当たらないので、それが建物の名前か地名かは不明)です。ボンドの過去を見せるとともに、老いたボンドが自らのルーツ・原点の地を闘いの場に選ぶという選択が、この作品を象徴しているように思えました。

 予告編で非常にセンセーショナルに使われているMの「ボンドを撃って」という発言、本編ではありません(予告編でもMは音声では Take a bloody shot (たぶん・・・)と叫んでいるだけで、「ボンドを」といっていませんが)。また、こちらはそれほどの意味はありませんが、武器開発担当のQのボンドに渡す専用銃は「どこで誰を撃ったか追跡できる」という発言も、本編では(少なくとも字幕では)ありませんでした。こういうの、いつも、嫌な気持ちになります。特にMの「ボンドを撃って」という発言はかなり衝撃的なわけで、予告編を見てこの作品を見る人の大半はどういう流れでこの発言に至るのかを興味津々で見ているはずです。それが、実際の作品では、そのものずばりの発言は登場せず、それに当たる発言は明らかに意味が違う。こういうことをされると興行サイド(予告編で「ボンドを」といっているのは字幕だけですから、日本の興行サイド)は客を映画館まで呼び込めば後は野となれ山となれ、そういう商売をしてるんだなと感じざるを得ません。

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