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2012年8月 4日 (土)

ダークナイト ライジング

 バットマンシリーズ最新作「ダークナイト ライジング」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、新宿ピカデリースクリーン1(580席)午前9時40分の上映は4割くらいの入り。
 前作「ダークナイト」も北京オリンピックの最中に見たのですが、今回もロンドンオリンピックの最中。あえてオリンピックにぶつけてるんでしょうか。

 前作「ダークナイト」で地方検事ハーベイ・デントの裏切りを隠すためにデント殺害の汚名をかぶったバットマンがゴッサム・シティから姿を消して8年が過ぎ、ゴッサム・シティは犯罪者を厳しく処遇する「デント法」の威力で犯罪の少ない街になっていた。ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は屋敷の地下で隠居生活を送っていたが、忍び込んだセリーナ・カイル=キャットウーマン(アン・ハサウェイ)が母親の形見のネックレスとともに指紋を盗み出し、これを利用して会社を乗っ取られたことから、隠してあった武器と核融合炉を守るために動き始める。他方、CIA機からパヴェル博士を誘拐したベイン(トム・ハーディ)は、博士にウェイン産業の核融合炉を核兵器に改造させ、ゴッサム・シティから逃げ出したものが1人でも出れば爆破スィッチを押すと脅迫しつつ、市民に革命を扇動した。ベインに囚われ地下の牢獄に監禁されたウェインは・・・というお話。

 「これは車ではない」空飛ぶ「バット」や超大型トラックのタイヤを穿かせたバイク「バットポッド」を駆ったアクションも売りではありますが、人間の絶望と希望、不屈の意志、人情といったものが中心をなす作品だと思います。
 バットマンの隠居生活での喪失感、会社を乗っ取られ核融合炉も奪われた絶望感、加えて活動を再開したもののベインに捕らえられて地下牢に閉じ込められテレビでゴッサム・シティがベインのいいように破壊される姿を見せつけられる屈辱感から、立ち直り脱獄に挑み続ける姿が、時間をかけて描かれています。不可能とも思える脱獄がかつて獄中で母親を多数の囚人たちに奪われ陵辱された怒りによって実現したというエピソードを事件の黒幕の生い立ちと重ね、悪役側のキャラクターにも深みを持たせています。

 ウェインの指紋を売りながら、その後ウェインに親近感を感じて動くキャットウーマンは、妖艶な表情・姿態もあわせて「ルパン3世」の峰不二子のような妖しい魅力を持つキャラに仕上がっています。何考えてんだかというところもありますが。
 ベインの屈強な体力と不屈の意志に見られる悪役の手強さ(ベインについては、終盤、急速に失速する感じがむしろ残念)と対比されるようなゴードン市警本部長(ゲイリー・オールドマン)の憂わしげな無念の表情、執事アルフレッド(マイケル・ケイン)の憂い・哀しみなどの人物造形と表情の演技が重層感を持たせています。
 そういう登場人物の思い、人間関係が、実は見どころかなと思います。

 デント法で収容された受刑者たちを刑務所から釈放させて市民軍を形成し、民衆を煽って略奪させ、富裕層や警察官に対して「人民法廷」で追放(氷結した川を渡らせ、氷を踏み割ったところで凍死させる)を宣告し続けるという描写には、前作「ダークナイト」のラストのデントの実像を隠すことで平和を守るという考えに見られる愚民思想がより先鋭に現れています。このあたりは、前作でも感じましたが、ちょっといやな感じ。

 ダークナイト3部作はこれで完結のはずですが、エンディングでは、次へのつなぎかと思える映像も見られます。続編への色気もあるのでしょうか。

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