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2012年7月 7日 (土)

それでも、愛してる

 うつになった男とその家族を描いた映画「それでも、愛してる」を見てきました。
 封切り3週目土曜日、全国でも東京でも2館だけの上映館の1つ新宿武蔵野館スクリーン2(84席)は2割くらいの入り。

 父親の玩具会社を受け継いだCEOのウォルター・ブラック(メル・ギブソン)は、うつになり、勤労意欲を失って家で眠り続ける毎日を過ごし、2年が過ぎ て、エンジニアの妻メレディス(ジョディ・フォスター)に愛想を尽かされて家を追い出され、ホテルで自殺を図るが失敗し、ゴミ箱で拾ったビーバーのパペッ トに叱咤される。パペットはウォルターが自身の左手で操り自身で話しているのだが、パペットを通じて話すことで人と話すことができ意欲を取り戻したウォル ターは自宅に戻り、すぐに受け入れた幼い次男のヘンリー(ライリー・トーマス・スチュアート)と一緒に工作を始め、戸惑いながら見つめていたメレディスも 受け入れたが、父親に反発を感じていた長男ポーター(アントン・イェルチン)は不快感を隠さない。会社にも戻り、ヘンリーの工作にアイディアを得て提案し たビーバーの木工セットが大ヒットして倒産寸前だった会社も持ち直し、仕事も家庭も順調と見えた矢先、20年目の結婚記念日にメレディスがビーバーを外す ように求めウォルターが再度話せなくなりメレディスが渡した家族の思い出の写真を見たウォルターが「過去のおかげでうつになった、それを思い出せというの か」と反発し、さらにポーターがガールフレンドのノラ(ジェニファー・ローレンス)に得意だったスプレー画をさせようとしているところを逮捕され引き取り に来たウォルターがノラと母親にビーバーを通じて話しかけたことでポーターが爆発して暗転し・・・というお話。

 うつ患者と家族の関係を、主として一家の支柱になる妻、父親に反感を持つ高校生の長男と父の関係を軸に描いています。
 家族側からすれば、意欲を失って寝てばかりいる父親、突然パペットを通じて話し出したことへの戸惑いと苛立ちとどう折り合っていけるかということになる でしょう。その結果、ウォルターはがまんがならなくなった妻に愛想を尽かされ、長男はもともと父親を嫌ってるし、ウォルターには父親になついている幼いヘ ンリーだけが救いという感じ。
 でも、この場合、はっきり言って、ウォルターも家族も恵まれた境遇にあり、ウォルターが2年も仕事を放り出していてもCEOを解任されもせず経済的には 安泰で生活に困っている様子はまったくありません。そういう状況なら、もう少し余裕を持って接していいんじゃないかと思えます。まぁ、私がウォルターの年 齢に近い父親だから、そう感じるのでしょうけど。
 大人がパペットを通じて話すという姿は、それほどがまんできないものなのでしょうか。対人関係で自信を失い話せなくなった人間が、第三者を仮想すること で、第三者がしゃべっているのだと思うことで気が楽になり、また自分の言葉を第三者の発言として聞くことで自分を納得させやすいなどの心理で、ある程度の 自信を持って話せるということは、ありそうな気がします。ホーキング博士がキーボードを通じてのみコミュニケーションを図れるという様子に、当初は衝撃を 受けましたが、その姿を見続けるうちにそういうものだと受け入れたものです。パペットを持ってテレビでも話し続けるウォルターの姿は、病気のために特殊な 形でしかコミュニケーションを図れない人の存在への理解を訴え、また視聴者にそう感じさせるものではあり得なかったでしょうか。
 そっちへ進んだら、あまりに説教臭い啓蒙的な映画になってしまうからかもしれませんが、この映画とは別の家族の絆の物語もあり得たのではないかと、私は思ってしまいました。

 主席でありながら、兄の死の悲しみから立ち直れず、スプレー画で逮捕された過去を持つノラと、ポーターのややよじれた恋の行方もサブテーマになっています。
 その陰影のあるノラを演じたジェニファー・ローレンス、公式サイトの紹介で、「『ウィンターズ・ボーン』(10)で、20歳にしてアカデミー助演女優賞 にノミネートされ、ハリウッド期待の若手女優となる。」と書かれてます。ウィンターズ・ボーンで彼女以外に主役がいたとも思えず、これは「主演女優賞」の 誤り。ちょっと情けない。
 原題の "The Beaver" 確かBeaverはスラングで4文字語の意味も・・・アメリカでの興行は、それでOKなんでしょうか。

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