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2012年5月20日 (日)

ビターコーヒーライフ

 入川保則遺作「ビターコーヒーライフ」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、全国で2館東京で唯一の上映館ヒューマントラストシネマ渋谷、「僕等がいた 前編」「ブライズメイズ」を差し置いて割り当てられたシアター1(200席)午前10時の上映は1割程度の入り。観客層は中高年1人客が多数派でした。

 元警視庁捜査1課の刑事森川哲郎(入川保則)は、同僚を殴り殺して逃走し、「家族を守るために見逃してくれ」と土下座した犯人加納大悟(赤塚真人)を逮捕したが、加納は5年後に出所したとき、待っていた妻と5歳の娘明日香を置いて出奔し、続いて加納の妻も死んでしまった。それを知った森川は孤児となった明日香を引き取り、刑事を辞めて喫茶店を経営するようになった。森川自身も刑事時代に家庭を顧みず妻に離婚を言い渡され、その妻も死に、一人娘七海(國元なつき)とも会えないままに過ごしていた。25歳になった明日香(山本ひかる)は森川と七海の関係を修復しようと試み、他方、森川は20年間行方不明だった加納を探すが・・・というお話。

 仕事や諸般の事情で、自分の家庭をおろそかにして家族から見放され恨みに思われている父親が、娘との関係を修復し心を通じ合わせることが大きなテーマになったハートウォーミングストーリーです。
 率直に言うと、台詞の間が悪く演技も巧いとは言いがたいところが多く、商業作品としてはちょっとつらいかなという印象です。ストーリーもひねりはなく、たぶん誰でも先が読める展開です。
 しかし、主役が、映画の内容と同様、末期癌で余命半年の宣告を受けてこの映画の制作に入り、映画公開前に亡くなっているということのリアリティというか切迫感がある上、それを知らずに見てもテーマ自体の重みやその部分の描写には涙を誘われますので、トータルとしては悪くないかなという思いで映画館を出ることができました。

 明日香は幼い頃本当の父親じゃないからという抵抗感から森川のことを「テツ」と呼び、大人になってもそのままという設定です。女の子が父親のことを「テツ」と呼んでいると、私の世代では「じゃりン子チエ」ワールドに入ってしまうのですが・・・

 映画では特に強調されていませんが、福島県白河市内の喫茶店が舞台で、時折走る新幹線をバックに引いた画面などで映る町並みや山野、人々の生活に、震災からの復興と生きる人々の強さを感じるとともに、この自然と人々の生活の上に放射性物質をまき散らした事故の理不尽さ、原発を推進してきた人々の無責任さにも少しの悲しみとたくさんの怒りを感じました。

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