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2012年2月 4日 (土)

J・エドガー

 FBI初代長官J.エドガー・フーバーの伝記映画「J・エドガー」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、シネ・リーブル池袋シアター2(130席)午前10時30分の上映は6~7割の入り。

 司法省長官らが過激派の爆弾攻撃を受け、司法省捜査局は共産主義との戦いを標榜して共産主義者のリストを作成し、犯罪の証拠も令状もなく権限もないのに拳銃を携行して検挙を繰り返した。批判を受けて司法省の上層部は軒並み退職させられたが、若いJ.エドガー(レオナルド・ディカプリオ)は退職を免れ、その強硬な捜査を買われて捜査局長となり、FBIが設立されるとその初代長官となった。J.エドガーは、共産主義者の活動が目立たなくなると、ギャングとの戦いを標榜し、リンドバーグの息子の誘拐事件が注目されると誘拐事件の捜査を連邦の権限とするよう法改正を求めるといった具合に警察、FBIの権限強化を図り、自らが正義の味方と映るように自らは臨場していない逮捕等の手柄も自分がやったように事実を歪曲するなどして自らとFBIが憧れの的になるようメディアを操作し続けた。そして犯罪者のみならず政治家や自らを批判した者に対する非合法の調査活動によって弱みを握り極秘ファイルを作成して、政治家や政敵を黙らせて権力を維持し続け50年もの間捜査当局のトップに君臨し続けた。強力な権力者であったエドガーは、側近を知人で固め、特に副長官に任命したクライド・トルソン(アーミー・ハマー)とは、プラトニックな同性愛の関係にあり、老いた母(ジュディ・デンチ)から強い影響を受けていた・・・というお話。

 爆弾事件を理由に、犯罪の嫌疑じゃなくて思想で危険人物リストをつくり、証拠も令状もなく踏み込んで丸腰の相手に拳銃を突きつけて無抵抗の相手にリンチを加えと、違法捜査をやりたい放題。相手が外国人なら黙秘権を行使する相手に「弁解の機会を放棄した」と言って国外追放処分にしと、アメリカ司法の命ともいえるDue Process(適正手続)もまったく無視して、それを国家のためと正当化する。図書館の検索システムを手本に人物ファイル作りをしたり、後の指紋等の情報集中管理や盗聴などによる情報収集とあわせ、監視と情報収集とそれによる恫喝と相手の畏怖で支配する手法は、それこそ共産主義国の秘密警察と同じ。共産主義は敵でも、その秘密警察は憧れの対象なのかも。警察を足がかりに権力を握りたがる人物は洋の東西・政治体制を問わず同じ穴の狢ということなんでしょう。

 その強権でFBIのトップに居座り続けた伝説の人物を、マスコミや伝記記述者に事実を歪曲して自らを偉大に見せようとするゆがんだ自己顕示欲の塊で、非合法な手段により政敵を脅して黙らせて権力を維持したという姿を描くとともに、プライヴェートでは極度のマザコンで、内心では女装志向や同性愛志向であったと暴露することにこの映画の狙いがあると見えます。
 キング牧師に対する異様なまでの感情的な批判と、匿名の手紙を出して脅そうとする様子など、長年にわたり忠実に支えてきた秘書のヘレン・ガンディ(ナオミ・ワッツ)にさえあきれられるほどの卑小さと卑劣さをにじみ出させています。

 朝日新聞の2012年2月3日付夕刊の映画評では、トルソンへのホモ・セクシュアルな愛情について「これは秘やかな愛のドラマである」「2人は最後まで手を握りあうことすらできなかった」と書いています。この年になると、相手が女性か男性かという問題はありますが、こういうプラトニックな愛情関係のよさを再認識してしまうもので(でも手ぐらいは握った方が・・・とも思いますが)、私はそういう思いを持って見ていたのですが・・・この映画評を書いた人、ちゃんと映画を見て書いたんでしょうか。もし見ていたのなら、きっと後半は居眠りをしていたに違いない。私が見た限りで少なくとも2回は手を握り合うシーンがあり、さらにはキスシーンまで(ちょっとふつうのキスシーンとは趣が違うけど)・・・

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