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2012年2月 5日 (日)

人生はビギナーズ

 45年連れ添ってきた妻が他界した75歳の父親に実は自分はゲイだと告白されたマイク・ミルズ監督の実体験を映画化したヒューマンドラマ「人生はビギナーズ」を見てきました。
 封切り2日目日曜日、全国5館、東京で2館の上映館の1つTOHOシネマズシャンテ1(224席)の午後2時50分の上映はほぼ満席。20代から30代カップルと女性2人組が多数派ですが、中高年男性1人客もけっこう目につきました。
 もともとは「しあわせのパン」のやはり東京で2館だけの上映館の1つヒューマントラストシネマ有楽町の午後1時5分の上映に合わせていったら満席売り切れで転進(すぐ横のTOHOシネマズ日劇も丸の内ピカデリーも午後1時台はすでに見た映画ばかりだったし)。昨日はゲイでマザコンの男の映画で、今日はゲイのお父ちゃんにファザコンの男の映画かとカミさんに文句言われながら・・・

 44年連れ添ってきた妻が死んだ後、ハル(クリストファー・ブラマー)は突然、息子のオリヴァー(ユアン・マクレガー)に対し実は自分はゲイだとカミングアウトし、癌で入退院を繰り返しながらもゲイの仲間たちと自由に生き、若い愛人(ゴラン・ヴィシュニック)を作って楽しく過ごし、5年後に死んだ。失意にくれるオリヴァーは、アートディレクターの仕事をしながら飼い犬のアーサーと静かに暮らしていたが、友人たちから引っ張り出された仮装パーティーで、不思議な女性アナ(メラニー・ロラン)と知り合い、惹かれ合うが・・・というお話。

 時間軸で整理すると、上のようなことでシンプルなストーリーなのですが、父親がゲイだとカミングアウトしてからの5年間と、若い頃父親不在の家庭で母と過ごす子ども時代のオリヴァー、アナと触れ合う現在が繰り返し交錯して描かれるので、ちょっとわかりにくく、ときどきアナと過ごす現在も父親が生きているかのような錯覚をしたりしてしまいました。
 父と息子の物語では、父親が息子に思いを寄せ父親が子どものために犠牲をいとわないというパターンがふつうですが、この作品では父親はあっけらかんと好きなように生き、それを見つめる息子が父親に思いを寄せ献身的に寄り添うという流れで、こういうのもあっていいかなと思いますし、むしろ現代的かなと思います。
 アナに惹かれ癒されながら、やはり父親の死、あるいは自分と母親は愛されていなかったのかという疑念などから立ち直れずにいるオリヴァーのファザコンというか煮え切らないというかうじうじした姿勢が、行きつ戻りつのアナとオリヴァーの関係を形作っていきます。よしもとばなながデビューした頃立て続けに書いた近親を失った女性主人公の喪失感をテーマとした作品の男性版のような風情です。そのあたり、たぶん、ふつうの女性の目からは、ええい、何といううじうじした男だと苛立ち呆れるのが、標準的な感想かなという気がします。でも、38歳の職業を持つ男にも、そういう思いや態度があり得ることを正面から打ち出したことは、いいことじゃないかと私には思えます。
 ただ、その一方で、アナが、出張を繰り返している女優という設定なのに、オリヴァーと一緒に住むにあたってその仕事がどうなるのかの葛藤もなくそもそもそのことが話題にさえ上らず、また一緒に暮らしてすぐ見せる泣き顔の背景も描かれず、どこか不思議ちゃんのままで終わっている感じがするのが残念に思えました。

 キスシーンが様々な形で描かれ、特にアナからオリヴァーへのキスがその都度少しずつ違う感じで繰り返され、あぁこういうのいいなぁと思いました。
 犬のアーサーが字幕で示す思いとその際の表情が可愛らしく印象的です。

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