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2011年11月20日 (日)

恋の罪

 「90年代、日本で騒然となったエリート女性の昼と夜の二重生活。渋谷区円山町ラブホテル街で実際に起きた殺人事件から、インスパイアされた未知なる禁断の世界」(公式サイトのイントロダクション)だとかいう「恋の罪」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、全国19館東京で4館の上映館の1つテアトル新宿の午前10時30分の上映は9割くらいの入り。18禁映画に日曜日朝から長蛇の列ができているのにはビックリ。観客層は中高年男性が多数派でしたが、若い女性客もわりといた感じ。

 ラブホで夫の後輩と不倫中の刑事吉田和子(水野美紀)が、緊急連絡を受けて駆けつけると、円山町の廃墟となったアパートにバラバラにされて2体のマネキンと接合された女性の死体が残されていた。人気作家菊池由紀夫(津田寛治)の妻菊池いづみ(神楽坂恵)は几帳面にパターン化された毎日と自分に情熱を向けてくれない夫に物足りないものを感じてスーパーの販売員となるが、そこで声をかけてきた女性からモデルにならないかと誘われ、結局はアダルトビデオの撮影、さらには男優とのセックスに至り、渋谷で声をかけてきたかおる(小林竜樹)に連れられて、円山町で売春を続ける大学助教授尾沢美津子(冨樫真)に引き合わされる。いづみは美津子に昼も夜も付いていき、美津子にいわれるままに自身も円山町で売春をし、デリヘル「魔女っ子クラブ」に勤めてデリヘル嬢として派遣されるが、その第1号の客は夫で、そこで夫が長らく美津子を買っていたことを知り・・・というお話。

 東電OL殺人事件の、低俗メディアが騒ぎまくった東電エリートOLの昼の顔と夜の顔という部分の設定を用いた上で、それに「インスパイア」されたフィクションですから責任は取りませんという構造の作品です。最初にいっておきますが、私は、アイディアの枯渇をそういう実在事件で補って、営利目的で被害者のプライバシーに属すべき情報や遺族が今さら触れて欲しくないことが明らかな情報を利用して、著名事件のネームバリューで客寄せも期待できるというような安易で卑しい発想でつくられた作品は、それ自体大嫌いです。

 幸せなあるいは他人からは幸せに見える日常、強固なあるいは安定しているように見える日常の意外なもろさ、不安定さといったものが、露骨にはいづみの転落(制作側からはいづみへの調教かひょっとしたらいづみの成長かもしれませんが)と美津子の夜の顔に、そして和子の投げやりな不倫とラストシーンに、または和子の前で自殺した女に、表現されています。
 もっとも、和子については、その不倫自体が日常と化しているわけで、和子の位置づけが今ひとつわかりにくい映画でもありました。特に問題があるとも思えない優しく理解のある夫(二階堂智)を持ちながら、その夫の後輩なのに裏切って平気でそれを楽しんでいるおれ様タイプの性格の悪い男(児嶋一哉)との不倫を続ける和子の姿は、人間のあるいは女の不条理性を象徴しているのでしょうけど。これは夫がかわいそうで、和子への共感は持ち得ませんでした。冒頭で和子役の水野美紀の全裸シーンが登場しますけど、久しぶりに見た18禁映画で、そういえば今はカメラを引いてればヘアヌードはOKだったのねと思った以上の感慨はなく、監督から他の2人が全裸になるのだからおまえも脱げといわれたレベルの必然性しか感じませんでした。作品全体を通じて登場するのに、影の薄い役回りに感じてしまいます。
 ついでにいうと、18禁映画で3人の女性の全裸、セックスシーンは何度も出てくるのに、性的な興奮を感じないのは、作品の性質か、私が枯れているのか・・・

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