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2011年9月

2011年9月19日 (月)

アンフェア the answer

 人気テレビドラマシリーズの映画化第2弾「アンフェア the answer」を見てきました。
 封切り3日目祝日の月曜日、シネリーブル池袋午前10時10分の上映は5~6割の入り。同時上映のアニメ「蛍火の杜へ」の方は長い列でしたけど(上映館数が全然違いますが:「蛍火の杜へ」は全国2館、東京では1館だけの上映)。

 前作で警察病院占拠事件のどさくさの中で警察の裏金関係の極秘資料が入っているUSBメモリーを入手した雪平夏見(篠原涼子)は、その後警視庁から北海道警察西紋別署に異動になり、殺人事件も起こらぬ町で刑事課長の一条(佐藤浩市)との情事を重ねながら、平穏な・退屈な日々を送っていた。東京では前の殺人の事件現場の遺留品や指紋から容疑者とされた人物が次の被害者となる3件のネイルガンによる連続殺人事件が発生していたが、3件目の殺人事件の現場から雪平の前夫のフリージャーナリスト佐藤和夫(香川照之)の指紋が見つかった。雪平の元を訪ねてきた和夫は、調査を依頼されたUSBメモリは暗号の解読で開ける物ではなく特定のパソコンに挿したとき初めてファイルが開ける仕組みになっていると伝えてUSBメモリを行平に返し、自分は犯人ではないがほとぼりが冷めるまで高飛びすると言って雪平の前から去った。翌朝、自宅にいた雪平は殺人容疑で一条ら西紋別署員に逮捕され、和夫がネイルガンで殺害され現場に遺留されていたネイルガンから雪平の指紋が検出されたと知らされる。一条の取調中に東京地検から派遣されてきて一条を追い出して取調を始めた検察官村上(山田孝之)が雪平を焚きつけ、雪平は村上を人質にして脱走する。東京に戻り、秘密裏にかつての仲間の山路(寺島進)や鑑識の三上(加藤雅也)らと情報交換した雪平を、北海道から追ってきた一条や、連続殺人犯結城(大森南朋)が追尾し、交錯して・・・というお話。

 争奪戦の対象が警察の暗部についての極秘資料で、関係者のほとんどが警察関係者ですから、誰が味方で誰が敵かわからないというシチュエーションが続き、それが売りになっています。
 その部分では、巧妙に作られていると思いますし、見ている途中で「どうして?」と思う疑問点はほとんどが黒幕とその人間関係が判明した段階でそういうことだったのねと納得できるようになっています。
 謹慎中の検察官村上が車で出かけようとするのを小久保課長(阿部サダヲ)が呼び止めて盗聴器・発信器を投げ込むシーンは、どうして村上が警視庁の地下に車を停めてるの?またはどうして小久保が東京地検地下で張ってるの?と、終わってもなおそう思いますが。

2011年9月18日 (日)

ハウスメイド

 韓国映画史に残る名作映画「下女」(1960年)のリメイク版「ハウスメイド」を見てきました。
 封切り4週目日曜日、全国10館、東京2館の上映館の1つシネマスクエアとうきゅうの午前11時の上映は2割くらいの入り。観客は、韓流ファン層を反映してでしょう。中高年中心。

 何不自由なく何でも手に入れてきた御曹司フン(イ・ジョンジェ)と双子を妊娠中の身重の妻ヘラ(ソウ)と6歳の娘ナミ、ヘラの母が住む超豪邸に住み込みの家政婦として働くことになったウニ(チョン・ドヨン)は、ナミに慕われつつ老家政婦ビョンシク(ユン・ヨジョン)の指示の下で夫婦の食事やヘラの身の回りの世話などをこなしていたが、一家で別荘で過ごした夜に身重の妻とのセックスで満足できなかったフンが寝室を訪れて誘惑されてフンと肉体関係を持ってしまう。豪邸に帰った後も寝室を訪ねるフンをウニも全裸で待ち、2人の情事は続き、ビョンシクは2人の関係を知るとともに、ウニの食事の嗜好や態度の変化からウニよりも早くウニの妊娠に気付いてしまい、ヘラの母に注進した。フンは平然と小切手を切ってウニとの関係をそれで済まそうとし、ウニもそういうものと落胆しつつ受け入れていたが、子どもを産まれて後から巨額の請求をされてはと不安に思ったヘラの母はシャンデリアの掃除中のウニの乗るはしごを押し倒してウニを階下に落下させ、それでもウニが軽傷で回復するとヘラがウニに毒を盛って流産を図り、ウニは復讐に燃え・・・というお話。

 問題の発端となるフンとウニの関係のスタートですが、雇い主のフンが求めているけれども、ウニの側も割と能動的に描かれています。雇い主と家政婦という関係からの圧力と、御曹司への興味なり恋人のいない身での火遊び・欲望なりがウニの中でどう働いたか、読みにくい映像になっています。これを主従・上下関係での強制的契機を隠蔽・曖昧化するものと評価すべきか、女性の性的な自己決定が強くなっていることを表現したと評価すべきか・・・
 いかにもご主人様が手をつけました的な構図が弱められた結果、ストーリー上は、女の戦い的な展開が軸になっていきます。特にヘラの母、怖い。
 宣伝文句通り、「驚愕の結末」ではありますが、すっきりもしませんし感動もしません。文字通りラストが(ラスト前ではなく)一番ホラーでしょうけど。
 映画のテーマは、むしろ上流階級の連中の傲慢さ・冷酷さ・非人間性・懲りなさ加減にあり、そちらの方がしみじみと感じられます。
 迫害される庶民側としては、ウニよりも、陰で主人の悪口を言い愚痴をこぼし続け、しかしヘラの母にご注進し、ウニの境遇にも同情しと揺れ動くビョンシクの方に様々な思いが乗せられている感じがしました。

 冒頭の繁華街での若い女性の飛び降り自殺と飲食店の調理場から出てきてそれを見るウニのシーンがけっこう長々と続き、これはどうストーリーにつながるのかと思いましたが、結局よくわかりませんでした。飛び降りた女性は誰だったのでしょう。ウニの前任者のハウスメイドだったとかなら話はわかりますが(それじゃ、「ゴーストライター」だって)、そうでもないようですし。
 ウニが女友達と1つのベッドで寝ている(抱き合っているように見えましたが:それにしても友達のおなかが立派だった)シーンとか、別荘に向かう雪の中での放尿シーンとか、ウニの人物設定のディテールなのかもしれませんが、文化事情の違いかもしれませんけど、今ひとつ何のためなのか何を描きたいのかよくわかりませんでした。
 そういうところや象徴として多用される入浴シーンも含め37歳のチョン・ドヨンの裸体が度々登場する映画ですが、口で・・・という言葉が多用される映画でもありました。久しぶりにビルとモニカの「不適切な関係 “inappropriate relationship”」を思い出してしまいました。そのあたりがR15+指定の理由かなと思います。

2011年9月17日 (土)

ライフ いのちをつなぐ物語

 「アース」「オーシャンズ」に続くBBCのネイチャードキュメンタリーシリーズ「ライフ いのちをつなぐ物語」を見てきました。
 封切り3週目土曜日、午前10時55分頃上野東急にたどり着いた私の目の前には長蛇の列。封切り1週目週末興行成績1位、2週目週末興行成績2位とはいえ、土曜日午前中でこれは・・・と思ったら、その列は11時30分からのしたまちコメディ映画祭の「エノケン&笠置シヅ子に見る“音楽の世界”」の列。ライフの午前11時の上映は2割くらいの入り。

 氷原のただ中で子どもを産むウェッデルアザラシ、生まれてすぐの子どもを連れて水場を求めてさまようアフリカ象、絶壁の上で子どもを産みえさ場まで駆け下りるアイベックスと子どもを狙うキツネ、雪の中を寒さに震えながらさまよい子どもと温泉に入るニホンザル、縄張りを守るニシローランドゴリラ、孵化したオタマジャクシを1匹ずつ背負って木の上の植物中の水たまりに運び上げそこに数日に1度無精卵を産んで食べさせるイチゴヤドクガエル、3兄弟で協力してダチョウを襲うチーター、えさの硬い椰子の殻を石で割るフサオマキザル、獣の骨を空から落として割って食べるヒゲワシ、カマキリを舌で捕まえるカメレオン、ハエを補食する食虫植物のハエジゴク、毒で水牛を倒すコモドオオトカゲ、トカゲから逃げるハネジネズミ、敵から逃げるときには水上歩行をするバシリスク、天敵タランチュラに遭遇すると崖を転がり落ちて逃げるオリオフリネラ(小石ガエル)、水底を尾で叩いて煙幕を作って魚を追い込むバンドウイルカの漁、群れることで危険を避けようとする小魚(ペイトボール)とそれを狩るバショウカジキや水鳥たち、飛んで逃げるトビウオ、魚を捕ったアカハシネッタイチョウを追い回して魚を横取りするグンカンドリ、食べられない葉を集めてキノコを栽培して食べるハキリアリ、カイツブリの求愛ダンス、チリクワガタの雌を求める雄の戦い、ザトウクジラの求愛、卵が孵化するまで守って死んでいくミズダコの母親などの生物がいかにえさを採り子どもを産み子どもを守っていくかという映像をつなげたもの。

 どうやって撮ったんだろうと思う迫力ある解像度もよいきれいな映像が続き、手間暇かかってるよねと思わせられます。
 しかし、さすがに特定の動物を追い続けるのは難しいのでしょう。継続的なフォローはありません。広告に使われている冒頭のウェッデルアザラシも、氷原で親子で転がる姿と氷に穴を空けて海中に入った後は2度と出てきません。撮影上の困難さのためですが、物語としてみるには、それぞれのエピソードが短くてフォローがないのでストーリー性がなく、単発・瞬間の感動に依存する作品になっていると思います。
 「オーシャンズ」のときに私の隣で熟睡していた人が、リベンジを賭けて見に行くぞと意気込んでいましたが、やはり返り討ちにあいました。
 私は、カイツブリの求愛ダンスとか気に入りましたし、コモドオオトカゲが水牛を狩る様子とかヘェと思いました(不気味ですけど)。

 こういう作品って、私の子どもの頃は、「野生の王国」とかごく普通にテレビでやってた記憶があります。今どきはテレビ局はこういうのを製作したり流したりする余裕がなくなったということなんでしょうか(私は近年テレビほとんど見てないのでよくわかりませんが)。映画館で見るのもいいですけど、子どものためには、こういうのはテレビで普通にやってて欲しい感じがしますが。

2011年9月 3日 (土)

ゴーストライター

 予告編によれば「ロマン・ポランスキーが放つ映画史に刻まれるサスペンスの傑作」とかいう「ゴーストライター」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、全国で8館東京で3館の上映館の1つヒューマントラストシネマ有楽町の午前10時20分の上映は満席。観客層は中高年中心で一人客も割と多め。

 アメリカ東部の孤島に滞在中の元イギリス首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自伝を執筆中の補佐官マカラが溺死体で見つかり、その後任者に選ばれたゴーストライター(ユアン・マクレガー)は、ラング滞在先でインタビューを始めるが、ラングの盟友の元外相ライカート(ロバート・パフ)がラングが在任中にイギリス軍にイスラム過激派を違法に逮捕させて拷問して殺害したことを戦犯として告発したことからラングの滞在先はデモ隊とマスコミに包囲される。ラングのインタビューの傍ら、マカラの原稿と行動を調べ始めたゴーストライターは、次第にマカラの死因に疑惑を感じ、また政治に興味を持たなかったラングが政治家となった経緯にも疑問を感じるようになる。マカラの資料を探りマカラの足跡をたどり始めたゴーストライターは追跡者に追われるが・・・というお話。

 労働党のトニー・ブレアがなぜブッシュのイラク戦争に簡単に追随しのめり込んでいったのか、そのことに疑問を持ちあるいはイギリス人としてまたは労働党員・シンパとして誇りを傷つけられた人々が、溜飲を下げるというか慰めを求め傷をなめ合うようなニーズに合わせた映画かなというように思えました。ミステリーだから、さすがに謎解き・落ちを書いたら身も蓋もないという性質の作品だから、それ以上書きませんが、そういう骨格はちょっと安直な感じ。
 ラング夫婦のかかあ天下ぶりというか、ラングの無能というか凡庸さも、ブレア嫌いの人向けにやってる感じがしますし。
 そういう政治臭が、イギリス政治を身近に感じない身には、違和感を感じさせ、もう少し政治を背景に離して描いた方がサスペンスとして楽しめるのだが・・・と感じてしまいました。

 ミステリーとしては、ラングとエメット教授(トム・ウィルキンソン)の関係が、ちょっとうまく整理・処理し切れていない感じがして、最後ストンと落ちない感じがしました。
 ラストとの関係で、アメリア(キム・キャトラル)の位置づけも、私にはちょっとわかりにくいところが残りました。
 落ちも、ちょっとブラックな感じはいいんですけど、その秘密の発覚のところはそこまで引っ張ったらもう少し気の利いた落とし方を期待したくなるんだけど、という感じがします。
 雰囲気はいいんですが、「映画史に刻まれる」とか「現代最高峰」とかいうのは、無理があるように思います。

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