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2011年8月13日 (土)

黄色い星の子供たち

 第2次世界大戦中のフランスで行われたユダヤ人一斉逮捕→絶滅収容所送り事件を描いた映画「黄色い星の子供たち」を見てきました。
 封切り4週目土曜日、全国4館東京では2館の上映館の1つ新宿武蔵野館の午前10時45分の上映は4割くらいの入り。

 第2次世界大戦中、ナチスドイツに恭順を示すビシー政権下のフランスでは、ユダヤ人は黄色い星を付けることを義務づけられ、娯楽施設や商店への立ち入りを禁じられていた。拝外主義的なフランス市民の支持もあり次第に厳しくなる迫害の中で、国外脱出を試みるユダヤ人は収容所送りになり、ユダヤ人たちの絶望が深まっていた。そんな中で、フランス政府はナチスドイツの要求に従い2万4000人のユダヤ人逮捕を計画し、1942年7月16日夜明け前、ユダヤ人一斉検挙を実施し、1万3000人の身柄を拘束してヴェル・ディヴ(競輪場)に5日間ろくに水や食糧を与えないまま収容し、その後郊外の収容所に移送し、さらに子どもたちを親から引き離してまず親を絶滅収容所に送り、次いで子どもたちを送った。そういう中での逮捕されたユダヤ人たち、収容所の中で医療を続けたユダヤ人医師、同行して医療活動を続けたフランス人看護師らは・・・というお話。

 メインストーリーとしては、夜中に踏み込まれ逃げることもできずに逮捕収容されたユダヤ人家族たちが、着の身着のままで競輪場に収容されて水も食糧もなく戸惑いながら翻弄される様、収容所に移されて何とか家族で励まし合いながら運命に耐えていく様、そして男、女、子どもたちに分けられて家族を引き離すことに抗議し泣き叫びながら暴力で引き離されて絶滅収容所に送られる様といった、惨劇に涙します。
 その中で、逃げようと思えば容易に逃げられたのに、若干名のユダヤ人を逃がしながら、自分は収容されたユダヤ人を見捨てられないとして医療行為を続け最後には絶滅収容所に送られるユダヤ人医師、その医師に同行し次第に思いを寄せつつ収容所でも献身的な医療行為を続けるフランス人看護師らの生き様に感動します。
 そして、国策だからとユダヤ人検挙を実行し、暴力をふるい、身につけた貴金属の略奪に励むフランス軍人・役人らの醜さを見るに付け、怒りに震えます。国策を言い、それを口実にその推進のためにはどんなことでも平気でする役人の思考停止と保身、醜さはどこの国でも同じなのでしょう。
 また、この映画では、ユダヤ人の排斥を主張し、喜ぶフランス市民も描かれていて、これまた、どこの国にも外国人を排斥したがる市民たちがいるわけで、ナチスドイツとフランス政府だけに特化して見るべきでないことが読み取れます。

 しかし、同時にこの映画では、フランスの公務員でも政府の指示を無視して収容されているユダヤ人に水を配り、渡された手紙の投函を部下に指示する消防署長や、検挙予定のユダヤ人のうち1万人以上をかくまって検挙を免れさせたフランス市民たちの姿も描いています。
 迫害されたユダヤ人とて、集団として見てしまえば、いまではパレスチナ市民を迫害し続ける暴虐の徒であることは否定できません。
 そういうことも含めて、集団として民族として国としてではなく、現実に生き生活している個人として捉えなければ見えてこない、そういうことが言われているのだと、思いました。

 翻って、我が国の役人には、国策推進のためには何でもやる官僚ではなく、個人として良心を持ちそれにしたがって行動してくれる人は、どれくらいいるのでしょう。

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