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2011年6月 5日 (日)

マイ・バック・ページ

 朝霞自衛官殺害事件にコミットしすぎて証拠隠滅で罪に問われ職を辞さざるを得なくなった朝日ジャーナル記者の自伝的ノンフィクションの映画化「マイ・バック・ページ」を見てきました。
 封切り2週目日曜日シネ・リーブル池袋午前11時の上映は3割くらいの入り。この映画の時代を生きた全共闘世代はほとんど姿が見えず、むしろ若者が多数派でした。妻夫木・マツケン・忽那汐里ファンの世代ということでしょうか(だいたい私の世代で「マツケン」っていったら松平健だったし)。

 東大安田講堂の籠城戦を安全な外部から見ていたことにコンプレックスを持ちながら週刊東都の記者をしている沢田(妻夫木聡)は、闘争に踏み込んでいく先輩記者中平(古館寛治)に、京成安保共闘を名乗る学生運動家梅山こと片桐(松山ケンイチ)を紹介され、自宅でインタビューする。中平はあいつは偽物だと判断し、気をつけろというが、沢田は梅山と意気投合し、接触を続ける。学生運動にのめり込みすぎて編集部が粛正された東都ジャーナルに移された沢田は、京都の闘争の理論面のリーダー前園(山内圭哉)と梅山を引き合わせ、対談させる。中平から聞かされた情報を元に京成安保じゃないんだってと聞く沢田に梅山は言いつくろいつつさらに過激な行動をにおわせ、用意した武器を見せる。自衛隊内の協力者を巻き込み自衛隊駐屯地に潜入して武器を奪取する計画を立てた梅山は、仲間の柴山と協力者を自衛隊駐屯地に送り込むが作戦は失敗し、自衛官を殺害してしまった上に武器を奪取できなかった。犯行を宣言することで立ち上げた組織赤邦軍のプロパガンダをもくろむ梅山は、沢田に殺害した自衛官の血に汚れた腕章を渡し、沢田は約束通り記事にしようとするが、東都新聞は単なる殺人事件と位置づけて記事は掲載せず警察に協力する方針を打ち出す。警察の取調に対して沢田はニュースソースの秘匿を主張して非協力の態度を貫くが・・・というお話。

 過激派跳ね上がり学生の梅山が、いかにもうさんくさくて卑怯な人間に描かれているところ(う~ん、当時もそういう評価だった記憶だから文句言いにくいけど)が、学生運動を知らない世代に、学生運動を全否定する印象を与えそうで、今どきの風潮からもいやな感じが残ります。
 全共闘議長唐谷(長塚圭史)の潔い態度や中平記者の姿勢に救われるところがありますし、忽那汐里演ずる週刊東都カバーガールの女子大生が感覚的には学生運動に親近感を見せながらそれでも「この事件はいやな感じがする」といわせるあたりに、この事件の特殊性を印象づけてはいるのですが。
 論争相手から理屈で言い負かされてというか、その後も一貫して党派をつくり武器を奪ってその後どうするかの展望がない結局何がしたいのかわからないのに、運動のトップでいたくて居丈高な態度を取る、ジコチュウで尊大でしかし臆病な梅山という存在と、闘争には入れなかったコンプレックスを持ち今も中平のように確信を持てない沢田という、「本物」になりたいと思いつつなれない若者の焦燥と挫折を描いたという点では、当時の雰囲気を感じさせる映画です。

 見終わって一番違和感感じたのは、実は、腕章の最後の扱いでした。ニュースソースの秘匿でがんばるんなら、そうじゃないだろって。でも、そのあたりも含めて、自分は本物になれなかったという沢田の悔恨なんでしょうね。

 前年に最後の盛り上がりを見せた竹本処分粉砕闘争の終結直後に京大に入学した私は、「竹本処分粉砕」と白ペンキで描かれた時計台を写真では何度も見せられ、大学の不当処分の話はよく聞かされましたが、その元になった事件がこういうものというか、こういう目で見られてた事件なのねというのは・・・梅山が騙った「京成安保」の闘争も、すべてが終わって最高裁になってからその事件の弁護人として記録で読んだ私には、そういう話だったかなというと・・・どちらも時代に乗り遅れて残骸を見ただけの私には何とも言えないのですが。
 梅山の危なさを感じながら離れられずにいて裏切られる茂子(石橋杏奈)の無念というか哀しみは、時代を超えて理解できる気がしましたが。

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